国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 REDD研究開発センター

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研究コラム/シリーズ☆森林と国際関係

森林と国際関係(3)- 気候変動への適応策 -

森田 香菜子(森林総合研究所 国際連携推進拠点)
(2015年8月18日執筆/メルマガ記事再掲)

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)では、2015年12月にパリで開かれる第21回締約国会合の下で、2020年以降の新しい国際枠組の合意を目指しています。そのUNFCCCにおける新しい国際枠組は、温室効果ガスの排出削減や吸収に貢献する気候変動の緩和策、気候変動の影響への対応策である適応策、資金・技術・能力構築、経済的手法等に関連する様々な議題の下で並行して議論されています。森林分野については、本メールマガジンで紹介しているREDD+や土地利用・土地利用変化及び林業といった緩和策の議論が注目されています。しかし、適応策も今後持続的な森林の保全・管理を実現する上で重要な対策です。

UNFCCCでは、緩和策と適応策は独立した議題として別々に検討されており、REDD+や土地利用変化及び林業の議論とは異なる交渉プロセスで森林分野を含む適応策の制度設計は議論されています。適応策の制度設計は、UNFCCCの下で4つのワークストリームである、①損失と被害(途上国の気候変動影響に伴う損失と被害への対処)、②ナイロビ作業計画(全ての締約国の適応に関する知識向上の支援)、③国別適応計画(後発開発途上国の中・長期の適応ニーズの特定とそれを満たす戦略・計画の策定・実施のための国別計画の策定・実施)、④国別適応行動計画(後発開発途上国の適応の優先課題特定の機会の提供)の下で検討されています。また、適応策の議論を支援する、適応委員会(適応策の促進の検討)、後発開発途上国専門家グループ(国別適応行動計画の戦略の準備・実施の支援)、損失と被害のためのワルシャワ国際メカニズムの執行委員会(損失と被害の検討)が設立されています。

森林分野の適応策の例としては、将来の気候変動に対応した種による植林・再植林・森林再生、森林の種・組成の変化等が挙げられ、④の国別適応行動計画等にこれらの森林分野の適応策を記述している国々もあります。また②のナイロビ作業計画の中では、生態系の仕組みを基礎とした生態系ベース適応(*生物多様性条約の議論の時にまた説明します)の可能性も検討され、その事例として森林分野の適応策が注目されました。

UNFCCCでの森林分野の適応策の議論はまだ限定的ですが、学術分野では効果的な森林分野の適応策、緩和と適応両方に貢献し得る森林分野の対策の可能性について議論されています。効果的な森林分野の適応策を考える上では、学術分野の貢献も期待されます。