国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 REDD研究開発センター

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研究コラム/シリーズ☆森林と国際関係

森林と国際関係(5)- 生物多様性保全 -

森田 香菜子(森林総合研究所 国際連携・気候変動研究拠点)
(2016年5月11日執筆/メルマガ記事再掲)

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)では、2015年12月の第21回締約国会議(COP21)で2020年以降の新しい気候変動対策に関する国際枠組であるパリ協定が合意されました。パリ協定の中では、世界共通の長期目標として、産業革命前と比べて平均気温上昇を2度未満に抑えること、さらに1.5度未満に抑えられるよう努力することが示されました。また、今世紀後半までに人為的な温室効果ガスの排出と吸収源による除去の均衡を達成することが言及され、森林等の吸収源の保全・強化の重要性、REDD+についても明記されました。

UNFCCCと同様に1992年の地球サミットで署名が開始した、生物多様性条約(CBD)においても、森林の生物多様性やREDD+の生物多様性への配慮等が議論されており、森林保全・管理は重要な問題として扱われています。

CBDでは、2010年に採択された、生物多様性保全のための戦略計画2011-2020及び愛知生物多様性目標において、森林を含む生物多様性保全損失を抑制する目標等が記されています。森林・林業に関する目標としては、「森林を含む自然生息地の損失が少なくとも半減、可能な場合にはゼロに近づき、劣化・分断が顕著に減少する(目標5)」、「農業・養殖業・林業が持続可能に管理される(目標7)」等があります。また、CBDの下では、森林保全・管理を通じた生物多様性保全の促進だけでなく、気候変動による森林の生物多様性の悪影響の軽減、REDD+の生物多様性への悪影響の軽減、さらにはシリーズの3回目で紹介した、生態系の仕組みを基礎とした生態系ベース適応や生態系ベース緩和(森林分野を含む)の可能性についても議論されてきました。

CBDは毎年COPが開催されるUNFCCCと異なり、COPの開催は2年に1度であり、今年の12月にCBD COP13が開かれます。CBD COP13に向けて先月4月にはCBDの第20回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA20)が開かれ、「生物多様性と気候変動」の議題の下で、生態系ベース適応や生態系ベース緩和の促進について議論されました。次回はこの生態系ベース適応や生態系ベース緩和に焦点を当て、森林分野の対策と生態系ベース適応や緩和との関係について記したいと思います。