国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 REDD研究開発センター

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2013年の動き

国際交渉の状況(2013年の動き)

2013年6月 SBSTA38の結果概要

2013年6月にドイツ・ボンにて開催された科学的及び技術的な助言に関する補助機関第38回(SBSTA38)では、COP19に向けた議論が集約的に進められた。SBSTA38における主な技術的課題の検討概要は以下の通りだった。

(1)セーフガード

セーフガードに関する主な成果として、情報提供の方法、時期及び頻度について合意された。合意された内容は以下の通りだった。

  • 方法:国別報告書(NC)の他、UNFCCCのWebプラットフォームを用いて任意に情報提供してもよい。NFMS構築の際は、COP15で示されたガイダンスを考慮し、また、最新のIPCCガイダンス及びガイドラインを適切な形で(as appropriate)参考にしなければならない。
  • 時期: REDDプラス活動の実施スタート後
  • 頻度: NCの提出頻度と同じ(初回提出は2014年、頻度は4年に一度)。UNFCCC Webプラットフォームを活用する場合、頻度は任意である

COP17においてセーフガードに係る情報は、NCあるいはCOPで合意される通報手段(communication channels)に含めて提供すべきことが決定された。その中で途上国はNCを用いて提供すればよいとの意見だったのに対して、先進国(ノルウェー、EU、米国、及び日本)が、セーフガードに関する情報及びその提供頻度は支援や支払いに関係し得ると指摘し、NC以外の柔軟な提供方法が論点となった。また、さらなるガイダンスの必要性として、インドネシアからパイロット活動等の経験を共有しガイダンスに反映すべきとの意見が出された。多くの国が支持する一方で、さらなるガイダンスは不要との意見もあり、各国意見の提出を経てSBSTA41で検討されることになった。

(2)MRV

検証(V)のモダリティについては以下の統一案が作成された。

  • BURとICA(国際的な協議と分析)の枠組みを活用する
  • BURにREDDプラスに係る報告文書(Technical Annex)を追加する
  • REDDプラスを検証するための技術専門家をICAに加える
  • 市場型アプローチの下でREDDプラスを運用する場合は、追加の検証モダリティが適用される

MRVに関わる議論の要点として、BURとICAの枠組み活用を主張するブラジル等と、独立した検証プロセスの必要性を主張する先進国との間で意見調整が行われた。また、市場メカニズムの下でのREDDプラス運用を念頭に置くインドネシアが、検証のレベルが非常に弱いものとなっていることに懸念を表明し、市場型アプローチの下では追加的なモダリティが適用されることとなった。そのほか、ICAについてはSBIにおいて技術専門家チーム(TTE)の構成等に関する議論が行われているところであり、議論の整合性に注意すべきとの指摘がニュージーランドやオーストラリア等からなされた。

(3)REL/RL

REL/RLの技術評価ガイドライン及び手順に関して、SBSTA38の会期中にEUがテキストを提案し、今後の検討のベースとして取り扱われることが決定した。この提案は、京都議定書の第二約束期間における先進国の森林経営活動の参照レベル審査プロセスを参考としたものであり、インベントリ審査資格を有する専門官から構成されるチームが独立に評価を行うことを想定したものだった。

各国のコメントでは主に目的(objectives)と範囲(scope)に集中し、手順(procedures)については議論が行われなかった。ブラジル、アフリカ諸国、タイ等は、技術評価による推奨を受けても改善する能力がなければ対応できないことを主張し、技術評価を踏まえながら段階的に改善すべきとする先進国側と意見の隔たりが生じた。

2013年6月、8月 REDDプラス資金ワークショップの概要

UNFCCCでは2013年中にREDDプラス実施にあたっての資金(結果に基づく資金のあり方)について合計2回のワークショップを開催することとなり、1回目はSBSTA38開催中に、2回目は2013年8月21及び22日にいずれもドイツ・ボンにて開催された。

第1回ワークショップでは、REDDプラス実施を支援するに当たっての調整(Coordination)の改善(新たな組織設置、GCFとの連携 等)に関する各国からのプレゼンテーションが実施された。

第2回ワークショップでは、とくにREDDプラスの完全実施段階(フェーズ3)における結果に基づく支払いの方法、そしてNon-Carbon Benefits(NCB)の2点について意見交換が行われた。結果に基づく支払いについては、①その方法に高い透明性が求められること(資金の追跡等)、②GCFが果たし得る資金管理にあたっての中心的役割、③各途上国のREDDプラス統括組織の重要性(公平かつ効果的な資金分配の実施等)の3点について意見交換がされた。NCBについては、①NCBの対象(定義)を明確化すること(Governanceの改善はセーフガードとも重複する)、②NCBの評価方法(コストも踏まえた評価方法の重要性)の2点について更なる検討が必要であること等について意見が述べられた。

2013年11月 COP19/SBSTA39の概要

2013年11月にポーランド・ワルシャワにて開催されたCOP19ではSBSTAにて検討を行ってきた5つの技術的課題(国家森林モニタリングシステムのモダリティ、森林減少・劣化の要因特定及びその対策の貢献評価手法の開発、セーフガード、MRV、REL/RL)、及び「REDDプラス実施の支援調整」、「結果に基づくファイナンス」についてパッケージで合意され、REDDプラスの実施に係る基本的な枠組みが決まった。一方で、NCBや非市場型アプローチに係る検討は今後も続く予定となった。また、セーフガードに関しては概要情報の提供の時期や頻度については合意されたものの、情報の透明性を保証するための更なるガイダンスの必要性等に関して引き続き検討される予定となった(下図参照)。

なお、COP19において合意に至ったのはUNFCCCの下での基本的なフレームワークであり、事業の実施当事者にとって重要となる方法論の細則ルールやUNFCCC枠組外の取組との関係性等については、UNFCCCの枠内・枠外を問わず継続的に議論が行われる見通しとなった。

(1)MRVのモダリティに関する合意事項(FCCC/SBSTA/2013/L.33/Add.2)

排出・吸収量等の算定に用いられたデータや情報は、BURを通して提出することとなった。結果に基づく支払いを受けたい国は、上記のデータや情報をBURのTechnical Annexに書き示す(Technical Annexの提出は任意とされる)。提出されたTechnical Annexの技術的分析は、ICAの下、ICAの専門家チームに2名のLULUCF専門家を加えて実施されることとなった。今後、市場型のresults-based actionsがCOPによって構築された場合、検証(V)について更なるモダリティが適用される可能性がある。

(2)森林参照(排出)レベル(REL/RL)に関する合意事項(FCCC/SBSTA/2013/L.33/Add.1)

提出されたREL/RLは毎回、所定のガイドラインと手順に従って技術評価を受けることとなった。技術評価チームは2名のLULUCF専門家から構成される。場合によっては、途上国のCGEメンバー1名がオブザーバ参加する可能性もある。事務局は初回の技術評価の実施後にSBSTAにおいて検討を行うため、技術評価プロセスに関する統合報告書を作成することとなった。

(3)REDDプラス実施の支援調整(FCCC/CP/2013/L.6)

途上国は自国の支援窓口として国家EntityもしくはFocul Pointを指定することとなった。支援調整に関する課題に対処するために必要な事項や機能について議論するため、関係国・機関は毎年自主的に会合を開催することとなった(第1回会合は2014年末のSB41、2015年以降の会合は上半期SBに合わせて開催予定である)。また、支援調整に関する課題に対処するために必要な事項や機能として、知見・経験の共有、ニーズやギャップに関する検討等が特定され、さらに遅くともSBI47(2017年11~12月予定)までに、上記会合の成果についてレビューするとともに既存組織のアレンジメントや新たなガバナンスの必要性について検討を行い、COP23(SBI47と同時開催)にて勧告することとなった。

(4)結果に基づくファイナンス(FCCC/CP/2013/L.5)

結果に基づく支払いを受けたい国は、事前にセーフガードに関する情報のサマリーを提出することとなった。資金源についてはGCFを含め、官・民、多国間・二国間を含む幅広い機関からの支援を招請することとなった。活動の結果とそれに対する支払いに関する情報を公開するため、UNFCCCのWebプラットフォーム上に情報ハブを開設することとなった。公開される情報は、活動に伴う排出削減量、REL/RL、セーフガードに関する情報のサマリー等である。情報ハブの作成に関する専門家会合をSBI41(2014年12月予定)の前に開催し、その結果を踏まえてSBI41において検討されることとなった。さらに、資金に関する常設委員会(SCF)に対して、森林への支援について検討することを要請された。

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