国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 REDD研究開発センター

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国際交渉の状況(2015年の動き)

国際交渉の状況(2015年の動き)

「気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」、「京都議定書第11回締約国会合(CMP11)」等の結果について

平成27年11月30日(月曜日)から12月13日(日曜日)まで、パリ(フランス)において、「気候変動枠組条約 第21回 締約国会議(COP21)」、「京都議定書 第11回 締約国会合(CMP11)」等が開催されました。
今次会合では、「京都議定書」以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな枠組みである「パリ協定」が採択されました。
[1] 概要
気候変動枠組条約締約国会議(COP※1)は、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の目標として1992年に採択された「国連気候変動枠組条約」(United Nations Framework Convention on Climate Change)に基づき、1995年から毎年開催されている年次会議で、今回は第21回の会議が開催されました。また、京都議定書締約国会合(CMP※2は、1997年に採択された先進国の削減目標等を定めた「京都議定書」(Kyoto Protocol)に基づき、2005年から毎年開催されている年次会合で、今回は第11回の会合が開催されました。
同時に、COP及びCMPの下に設置された補助機関の会合(強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP※3)、科学上及び技術上の助言に関する補助機関会合(SBSTA※4)、実施に関する補助機関会合(SBI※5) 等)も開催されました。
今次会合では、ADPにおける事務レベルの交渉を経て、12月6日以降閣僚間でさらに協議を重ねた結果、最終的に新たな法的枠組みである「パリ協定」が採択されました。
※1 COP:Conference of the Parties
※2 CMP:Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties to the Kyoto Protocol
※3 ADP:Ad Hoc Working Group on the Durban Platform for the Enhanced Action
※4 SBSTA:Subsidiary Body for Scientific and Technological Advice
※5 SBI:Subsidiary Body for Implementation
[2] 開催日程及び場所
日程:11月30日(月曜日)~12月13日(日曜日)
場所:パリ(フランス共和国)
[3] 参加国・地域
気候変動枠組条約締約国、関係国際機関、NGO等
[4] 出席者
我が国政府からは、安倍総理、丸川環境大臣をはじめ、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省他が出席しました。
[5] 森林関連の議論の内容
(1) 「パリ協定」の採択
森林をはじめとする温室効果ガスの吸収源・貯蔵庫の役割を認識するとともに、これらの保全・強化に全ての締約国が取り組むべきことが「パリ協定」に盛り込まれました。
森林分野においては、京都議定書には無かった新たな項目として、途上国における森林減少・劣化に由来する排出削減等の実施及び支援の必要性に関する条文が盛り込まれるとともに、活動の実施のため、二国間協力、緑の気候基金等の多国間協力や市場メカニズム等を含む多様な資金源から資金を確保することの重要性が認識されました。

(2) その他のCOP/CMP決定

(ア) REDD+の方法論のガイダンス等について
第42回科学上及び技術上の助言に関する補助機関会合(SBSTA42)で合意された途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減等(REDD+※6)の方法論のガイダンスに関する最後の3課題を採択し、本議題の検討を完結しました。また、資金の議題の下で、緑の気候基金によりREDD+の結果支払いが実施できるようにすることが、来年の作業計画として盛り込まれました。
(イ) 森林・農地等吸収源の取扱い
  • 京都議定書第二約束期間において約束を持たない締約国の計上、報告、審査について、約束を持つ締約国と同様、報告及び審査を受けることとなりました。
  • 京都議定書下のクリーン開発メカニズム(CDM※7)について、新たにCDMに含める土地利用、土地利用変化及び林業部門(LULUCF※8)活動に関するCDM理事会からの報告を受け、2016年以降に議論することとなりました。
※6 REDD+ : Reducing emissions from deforestation and forest degradation and the role of conservation, sustainable management of forests and enhancement of forest carbon stocks in developing countries
※7 CDM : Clean Development Mechanism
※8 LULUCF : Land Use, Land Use Change and Forestry

<関連資料>

出典:
農林水産省Webサイト(http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kankyo/151215.html)
プレスリリース『「気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」、「京都議定書第11回締約国会合(CMP11)」等の結果について』(農林水産省)を編集・加工して作成。

2015年6月 ボン気候変動会議 SBSTA42等の結果概要

情報提供:林野庁計画課海外林業協力室 井上泰子氏

[1] 概要
♦6月1日から11日にドイツ・ボンで開催された第42回科学上及び技術上の助言に関する補助機関(SBSTA42)では、REDD+についてCOP21での採択をめざす3つのガイダンス((1)セーフガード、(2)非市場アプローチ、(3)非炭素便益)からなる決定案に合意しました。(SBSTA議題4:In-session documents June 2015 - SBSTA)。 これがCOPで採択されれば、2007年のCOP13における決定に基づきSBSTAで議論されてきたREDD+の実施方法のガイダンスに関する一連の課題の検討は完了することとなります。
♦一方「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)」における2015年合意に向けた検討では、2020年以降の枠組みにおけるREDD+の位置づけ、市場メカニズムとして取り扱う(REDD+由来のクレジットの国際移転を認める)べきかどうか等についても、年末のCOP21での合意に向けて議論が続けられています。
♦また、REDD+に関する資金や支援のあり方については、条約の下に設けられた「資金のための常設委員会(SCF)」の検討課題の一つとして検討されており、本年9月に専門的なフォーラムの開催が予定されているほか、2014年から開催されている「支援の調整のための自主的会合」において関係各国や支援機関による議論が行われています。同会合は今後も年一回開催し、2017年末にSBI47で一連の会合の成果をレビューするとともに、COP23で勧告を行うことが予定されています。
[2] SBSTA42のREDD+結果概要
(1)セーフガード
  • セーフガードとは、REDD+活動の実施に伴い発生する可能性がある社会的・環境的な悪影響を防ぐための措置(先住民の権利の保護や生物多様性の保全等)であり、セーフガード情報システムを整備し、セーフガードがどのように対処され、尊重されたかに関する情報の要約を定期的に条約事務局に提出し条約事務局のウェブプラットフォームに掲載することは、各途上国がREDD+結果支払いを受けるための条件とされています。
  • これまでの交渉の経緯としては、2010年のCOP16(カンクン合意)において、途上国がREDD+の全てのフェーズ(準備、試験的実施、本格実施)に取り組む際に遵守すべき7つのセーフガードの項目を規定し、2011年のCOP17ではセーフガード情報システムを設置し、要約情報を提出すること、2013年のCOP19(ワルシャワREDD+枠組み)ではその提出の時期と頻度を決定しています。これらの決定を踏まえ、セーフガードの要約情報について透明性、一貫性、包括性、実効性を確保するための更なるガイダンスの必要性について我が国を含む各国からの提案書を元に検討されてきました。
  • 今次会合では、途上国各国が提出するセーフガードの要約情報について、7つのセーフガード項目のそれぞれについて自国の事情に合わせて説明することや、セーフガードを尊重するためのシステムやプロセスを説明することなどの4項目の要素を含むことを強く推奨することや、途上国のセーフガード情報の提出の段階的な改善を奨励することなどが合意されました。
(2)非市場アプローチ
  • 2010年のCOP16(カンクン合意)後に、ボリビアがREDD+に代わる非市場アプローチとして「統合的で持続可能な森林管理のための緩和と適応の共同アプローチ(JMA)」を確立すべきと提案し、SBSTAでの検討が続けられてきました。
  • 議論においては、すでに検討が進んでいるREDD+とどのように異なるのか、別途ガイダンスを策定する必要があるのかという点が課題とされていました。
  • 今次会合においては、JMAを「REDD+に代替する非市場アプローチ」ではなく「REDD+の結果支払いに代替するアプローチ」として位置づけ、JMAを実施したい途上国が対応すべき項目を特定するとともに、資金提供者に対し、JMAのために幅広い資金源から引き続き資金を提供することを奨励することを含むガイダンスに合意しました。
(3)非炭素便益
  • 森林の炭素蓄積が限られているアフリカ等においては、REDD+の結果支払いによる利益が限定的であることが予測されることから、アフリカ・グループが、森林保全等の効果的な実施と持続性の確保に貢献する非炭素便益に着目した支援を提案し、2012年のCOP18決定に基づき検討を続けてきたものです。
  • 各国とも炭素以外の便益が重要であることには異論がありませんでしたが、どのように結果支払いと関連づけるかが課題とされていました。
  • 議論の結果、非炭素便益は結果支払いに結びつく活動に伴うものとして位置づけられました。また、非炭素便益に着目した支援が必要な途上国は、非炭素便益の特徴、規模、重要性に関する情報を条約事務局のウェブプラットフォームに掲載しうること、これらの情報を必要に応じて関心国や資金組織に提示することを推奨することなどを含むガイダンスに合意しました。
[3] その他
  • 6月8日に開催された第2回REDD+の支援の調整に関する自主的会合では、SCF、GCF(緑の気候基金)、GEF(地球環境ファシリティ)、FCPF(世銀森林炭素パートナーシップファシリティ)による情報提供と質疑応答などが行われるとともに、支援の調整、一貫性の向上に関するニーズやギャップについて議論が行われました。我が国からは、民間企業がREDD+支援に参画するに当たり、国レベルで準備すべきとされている国家戦略、参照レベル、森林モニタリング、MRVの取組等の各国の政策とどのように調整を図っているのか、ベストプラクティスの共有に関心がある旨発言しました。

  ◊議題等(気候変動枠組条約ウェブサイトへのリンク:英語)

  • REDD+関係のサイドイベントとしては、CIFORによるベネフィット・シェアリングに関するセミナー「Who Pays, Who Benefits?- equity implications of REDD+ implementation and benefit sharing」が開催され、EU、インドネシアと共に井上がパネリストとして登壇しました。パネルディスカッションでは、公平性と効率性の確保が課題であることや、その分析方法などが参加者と共有されました。

  ◊イベント概要報告:(CIFORウェブサイトへのリンク:英語)

(了)