国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 REDD研究開発センター

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論文概要

論文

REDD+ engagement types preferred by Japanese private firms: The challenges and opportunities in relation to private sector participation. Forest Policy and Economics 106. September, 2019. 101945 https://doi.org/10.1016/j.forpol.2019.06.002

(日本企業のREDD+参画形態の選好調査:民間参画の機会と課題)

リンク先

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1389934118304593

著者

江原誠(気候変動研究室 主任研究員)、鮫島 弘光・山ノ下 麻木乃(地球環境戦略研究機関)、淺田 陽子・正垣 裕太郎・矢野 雅人(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)、百村 帝彦(九州大学)

概要

本研究では、全国の証券取引所に上場する大企業を主な調査対象として、どのような目的や形態でREDD+への参画を望んでいるかについてのアンケート調査を実施しました。その結果、全国には企業の社会的責任(CSR)や企業価値の向上を意識してREDD+に関心を示す企業も一定数存在することを突き止めました。また、企業がREDD+へ参画するには、REDD+クレジットに対する需要の見通しの不透明さや、森林保全の大切さをわかりやすく顧客に伝える方法の不足などがREDD+参画への障壁であることが明らかになりました。こうした課題に対しては、森林保全に関心のある企業と現地政府・NGO等とのマッチング支援や、単独では保全活動が難しい企業を束ねて活動を実施可能にするしくみの構築といった対策をとることが重要です。

REDD+が実施段階を迎え、公的資金に加え民間資金を取り込むことが必要になっています。わが国は、主にREDD+クレジット取引で利潤獲得を目指す企業を対象にREDD+への民間参画を支援してきましたが、本研究成果はその現状と課題を分析したもので、その結果、REDD+への民間参画を促進する施策の選択肢が増え、わが国および途上国の森林管理による気候変動対策の立案に大きく貢献することが期待されます。

表1:日本企業がREDD+参画に躊躇する障壁と対策
障壁 対策
1. 利潤獲得のために活用するには未成熟な制度、不透明な費用対効果、REDD+クレジットに対する需要の見通しの不透明さ
・UNFCCC、JCMでの交渉の進展
・REDD+クレジットの今後の見通しができるような判断材料を日本政府等が発信
2. 森林保全の大切さを分かりやすく顧客に伝える方法(ストーリー)の不足
・魅力的なストーリーを求める企業群と、これを提供し得る現地政府・NGO等とのマッチング支援
3. 相手国・地域社会からの理解・信頼獲得およびREDD+実施国や地域における協力者・団体の確保の難しさ
4. MRV実施やそのための合意形成の割高感
・MRVコストは基本的に途上国政府が負担
・森林保全実施の際の現地の行政手続きを簡素化するための支援
・コンソーシアムの設立等
5. 単独では活動が難しい企業を束ねてREDD+活動を実施可能にするしくみの不足

UNFCCC:気候変動枠組条約、JCM:二国間クレジット制度、MRV:温室効果ガス排出・吸収量の測定、報告、検証