国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
REDDプラス・海外森林防災研究開発センター

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ごあいさつ

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所

REDDプラス・海外森林防災研究開発センター

  センター長 玉井幸治

2023年4月にセンター長を拝命しました玉井幸治と申します。よろしくお願いいたします。

森林総合研究所は2010年7月に「REDD研究開発センター」を設立し、その後約10年にわたってREDD(プラス)の実践に必要となる手法の開発を進めるとともに、我が国の民間企業の参入を促進するための知見の収集等に努めてまいりました。

気候変動対策としては、REDDプラスをはじめとした「緩和策」のみならず、来るべき気候変動がもたらす様々な現象への備えとしての「適応策」も重要です。今年3月に公表されたIPCC第6次評価報告書(AR6)統合報告書の政策決定者向け要約(SPM)によれば、

 

大気、海洋、雪氷圏、及び生物圏に広範かつ急速な変化が起こっている。人為的な気候変動は、既に世界中の全ての地域において多くの気象と気候の極端現象に影響を及ぼしている(A.2)。

適応の計画と実施は全ての部門及び地域にわたって進展しており、その便益と様々な有効性が文献で報告されている。進展があるにもかかわらず、適応のギャップが存在し、現在の適応の実施の速度では今後も拡大し続ける(A.3)。

 

とされています。

適応策の速度を増すことの必要性は言を俟たないでしょう。とはいえ、例えば自然災害に備えて防波堤を設置する際にはより高くより強い施設を整備するほど支出が増えるのは自明であり、なるべく少ない投資で大きな効果をあげるための手法の選択や技術の開発が重要となります。

さて、我が国は、世界でも最も地殻変動が活発な地域のひとつです。そのうえ、台風や梅雨による豪雨も頻発する気候帯にあるため、頻繁に山地災害に見舞われてきました。その一方で森林や樹木には山地災害の発生を抑制する機能があり、それらを活用した治山技術が開発され、実施されてきました。

森林総合研究所でも、森林を活用した防災減災技術のための研究を進めてきました。近年では特に、災害被害地における迅速な緑化のための工法、森林域における災害リスクマップの作製技術、樹体による津波や雪崩の減勢効果に関する研究などを推進しています。

森林を活用した防災減災技術は、「グリーンインフラ」や「Nature based Solution(自然を基盤とした解決策)」などと言われているものの一つであり、途上国においても役立つことが期待されています。

 

森林総合研究所では、途上国における森林を活用した減災・防災機能の発揮を推進するため、2020年9月1日に「REDD研究開発センター」を「REDDプラス・海外森林防災研究開発センター」と改編し、ベトナムを当面のフィールドとして活動しています。我々はこれからも研究と現場との「橋渡し」の役割を担い、国内外でREDDプラスや森林機能を活用した防災・減災に取り組む方々に求められる技術と知見を発信できるよう努めて参ります。