国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
REDDプラス・海外森林防災研究開発センター

文字サイズ

ごあいさつ

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 REDDプラス・海外森林防災研究開発センター

センター長 平田泰雅

2020年11月に予定されていた温室効果ガス削減に向けた国際枠組み「パリ協定」の本格始動を確認し合うための気候変動枠組条約第26回締約国会議は、新型コロナウィルス感染の世界的な拡大を受けて開催が1年間延期されました。これにより世界の目は新型コロナウィルス対策へと向けられ、気候変動対策への関心が相対的に低下しているように感じられます。しかしながらこの間にも、アマゾンをはじめとする大規模森林火災の発生や巨大台風・ハリケーンによる風害、水害、高潮被害の激甚化など気候変動対策の重要性はますます高まっています。

 

新型コロナウィルスの世界的な蔓延は経済活動の停滞を引き起こし、2020年の温室効果ガスの排出量は大幅に削減されることが予想されています。ただ、1年のみの削減では大気中の温室効果ガス濃度の低下にはほとんど影響を与えないため、継続的な削減が求められます。しかしながら、新型コロナウィルス感染が終息に向かうにつれて経済活動が再び活発化し、再び温室効果ガス排出が増加に転じることが懸念されています。アフター・コロナにおいて経済回復と脱炭素社会の両立を目指すグリーン・リカバリーの推進が求められます。

気候変動対策としては、緩和策と適応策の両面で取り組んでいく必要があります。緩和策としては、「パリ協定」において発展途上国における森林減少や森林劣化からの温室効果ガスの排出を削減し森林を保全する枠組みであるREDDプラスも気候変動緩和策の一つとして重要であることが確認されました。また、2015年に開催された第3回国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組」では、気候変動適応に取り組む必要性が強調され、気象災害に対する森林の果たす役割がますます需要となってきています。

REDD研究開発センターは、2010年7月の開設から、REDDプラスの実現に向けた技術的な課題の解決に取り組んできました。とりわけ現場での感覚とデータを大切に、REDDプラス実施に向けて必要となる手法の開発と知見の集積を進めてきました。近年、地球規模で豪雨の強度増加や頻度上昇、非常に気圧の低い低気圧、台風の発生頻度の増加が報告されており、斜面災害の大規模化や頻度上昇、沿岸域での高潮被害の甚大化に対する効果的な対策が世界共通の課題となっています。このような問題に対し、我が国が蓄積してきた森林機能を活用した防災・減災技術を途上国で適用するため、課題の調査、海外展開に向けた技術開発・人材育成が求められています。 森林総合研究所では、途上国において森林を活用した減災・防災機能の強化を通じた気候変動適応策についても取り組むため、「REDD研究開発センター」の機能を強化した「REDDプラス・海外森林防災研究開発センター」を2020年9月1日に開設しました。

我々はこれからも研究と現場との「橋渡し」の役割を担い、国内外でREDDプラスや森林機能を活用した防災・減災に取り組む方々に求められる技術と知見を発信できるよう努めて参ります。