国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
REDDプラス・海外森林防災研究開発センター

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令和4年度森林の防災・減災技術の海外展開に関する技術者研修

概要報告

2022年12月5日(月)から12月7日(水)までの3日間、我が国の治山技術等の海外展開を促進することを目的とした技術者研修を実施しました。都内の会場受講生とオンライン受講生の合計は16名でした。

研修プログラムと講義概要は以下のとおりです。

研修プログラム
月日 時刻 講義名 講師名
12月5日(月) 10:00-10:30 開会式・事務連絡
10:30-12:00 気候変動適応策としてのEco-DRR概論:森林の機能に注目して 中村太士(北海道大学大学院農学研究院)
13:00-14:30 世界の山地災害及び防災施策に関する国際的取組 稲田徹(アジア航測株式会社)
淺田陽子(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)
14:45-16:15 日本における治山事業の歴史とその優位性 林野庁
12月6日(火) 09:00-10:30 JICAによる治山関連分野の取組と今後の展望 JICA地球環境部
10:45-12:15 途上国における住民の土地利用と防災に関する意識 岩永青史(名古屋大学生命農学研究科)
13:15-16:15 途上国におけるGoogle Earth Engineを用いた斜面崩壊地の自動抽出 大丸裕武(石川県立大学生物資源環境学部環境科学科)
森林総研
12月7日(水) 09:00-10:30 治山事業の海外展開に係る国内外の資金ソース JICA地球環境部
森林総研
10:45-12:15 海外展開における事業者のベネフィットとリスク(意見交換含む) 菅野孝美(川崎地質株式会社)
鈴木聡(奥山ボーリング株式会社)
眞弓孝之(国土防災技術株式会社)
13:15-14:45 研修レポート作成 森林総研
14:45-15:15 閉会式・事務連絡
講義概要
 

◯気候変動適応策としてのEco-DRR概論:森林の機能に注目して

科学的知見に基づく森林の防災機能(皆伐の影響など)、過去の大規模な地震や水害の事例分析、気候変動適応策としての自然再生の可能性、生物多様性に配慮した流域治水の取組などについて解説いただきました。

◯世界の山地災害及び防災施策に関する国際的取組

山地防災事業の展開が見込まれるベトナム、インドネシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、インドでの、山地災害の実態、各国で取り組まれている防災施策、山地防災事業を展開する際のポイント、特に連携すべき政府のパートナーやその特徴、連携に際しての留意点などについて、本事業で行った調査を基に解説いただきました。

◯日本における治山事業の歴史とその優位性

日本の治山事業の各種工法や効果事例、過去の山地災害の発生状況、近年の豪雨災害を踏まえた新たな取り組みなどについて解説いただきました。

 

◯JICAによる治山関連分野の取組と今後の展望

JICAによる自然環境分野の包括的な説明、インドにおける技術協力プロジェクト案件と円借款案件を紹介いただき、最後に治山分野における国際協力の今後の課題(資材の確保、人材育成など)について解説いただきました。

◯途上国における住民の土地利用と防災に関する意識

東南アジア各国の森林政策の変遷(丸太輸出禁止など)について紹介いただき、また、ベトナム等3カ国4事例をもとに、自然災害に対する農民の意識のタイプ別(災害が多い、災害が当たり前、災害がない)で農民の生計手段や木材生産がどう変わるかを分析した結果について解説いただきました。

◯途上国におけるGoogle Earth Engineを用いた斜面崩壊地の自動抽出

衛星画像を可視化、分析することができる地理空間分析プラットフォームであるGoogle Earth Engineを利用して、災害前後の衛星画像データから斜面崩壊地を自動抽出する技術について、実習を通して実際に体験していただきました。

 

◯治山事業の海外展開に係る国内外の資金ソース

民間企業が治山事業を途上国で展開するためには、準備、計画、パイロット事業、本格事業といった段階毎に資金を調達する必要がありますが、その資金を用立てる先はどこなのか、どのようにアクセスするのか、入札までにはどのような留意点があるのか、苦労話を含め実際の事業はどのようなものかなどについて、有力な資金ソースであるJICA、及び各資金ソースへの聞き取り調査を行ってそれぞれの概要を整理した森林総研の担当者が説明しました。

◯海外展開における事業者のベネフィットとリスク(意見交換含む)

国内企業の途上国治山事業参入に関して、三つの視点が紹介されました。ベトナムでは、地すべり対策の受注成功とPR活動の重要性が強調され、ネパールでは地域住民の積極的参加の意義が語られました。最後の討論では、言語の障壁克服などの海外事業の課題について議論されました。

開催趣旨

森林総合研究所では、我が国の治山技術等の海外展開を促進することを目的として、令和2年度から林野庁補助事業「森林技術国際展開支援事業」を実施しています。

これまで、当研究所では、①ベトナムをフィールドとして、我が国の治山技術(リモセン技術やAI技術等を含む)を途上国で効果的に適用するための手法の開発や、②海外展開の対象となりうるアジア各国における森林防災の動向等に関する調査を実施してきました。

このたび、上記①②の内容を含め、治山技術の海外展開に関する国際動向や途上国に適用可能な治山技術等に関する研修を実施します。

なお、研修実施業務の一部を株式会社インソースに委託しています。

開催日

2022年12月5日(月曜日)~12月7日(水曜日)

会場

MEETING SPACE AP 品川アネックス

  • 住所:〒108-0074 東京都港区高輪3-23-17 品川センタービルディング 1F・B1F(受付1F)
  • 品川駅より徒歩3分
  • ホームページ:https://www.tc-forum.co.jp/ap-shinagawaanex/
  • 会場参加を基本としますが、オンライン受講も可能です。
    なお、12月6日(火)午後の「途上国におけるGoogle Earth Engineを用いた斜面崩壊地の自動抽出」については、会場参加者は、あらかじめ主催者側で準備したPCを用いて実習を行う予定です。オンライン受講者がこの実習に参加するためには、実習用のPCをご自身で準備していただく必要があります。(それができない場合でも、講義の様子をご覧いただくことはできます。なお、実習を受けていただく際にはあらかじめGoogle Earth Engineのアカウントを取得していただく必要があります。アカウントの取得方法等については、テキスト等で講義の開始前までにお伝えします)。なお、Google Earth Engine のアカウントの取得には、g-mail アドレスを含むGoogle アカウントが必要になります。可能であれば、Google Driveの利用も含めて登録してください(Google Drive の無料枠は15GBですが、実習用には十分な容量です)。Google Driveが利用できない場合は研修の一部を体験できない可能性がありますので、ご了解ください。

研修プログラム

番号 時刻 時間 講義タイトル(仮題) 講師等
0 12月5日(月) 10:00-10:30 0.5 開会式 森林総合研究所 研究ディレクター 平田泰雅
1 12月5日(月) 10:30-12:00 1.5 気候変動適応策としてのEco-DRR概論:森林の機能に注目して 外部講師
2 12月5日(月) 13:00-14:30 1.5 世界の山地災害及び防災施策に関する国際的取組 外部講師
3 12月5日(月) 14:45-16:15 1.5 日本における治山事業の歴史とその優位性 林野庁
4 12月6日(火) 09:00-10:30 1.5 途上国における自然災害の概要と森林を活用した防災取組事例 外部講師
5 12月6日(火) 10:45-12:15 1.5 途上国における住民の土地利用と防災に関する意識 外部講師
6 12月6日(火) 13:15-16:15 3.0 途上国におけるGoogle Earth Engineを用いた斜面崩壊地の自動抽出 外部講師・森林総研
7 12月7日(水) 09:00-10:30 1.5 治山事業の海外展開に係る国内外の資金ソース 外部講師・森林総研
8 12月7日(水) 10:45-12:15 1.5 海外展開における事業者のベネフィットとリスク 外部講師・森林総研
9 12月7日(水) 13:15-14:45 1.5 研修レポート作成等 森林総研
10 12月7日(水) 14:45-15:15 0.5 閉会式・事務連絡 森林総研

参加費用

無料。ただし旅費等は自己負担。

受講対象者、定員など

治山事業の海外展開に関心のある民間企業等の技術者等を対象とします。

会場参加は15名まで。オンライン参加含めて20名程度を上限とします。よって必ずしも応募者全員のご希望に添えるとは限りません。申込された方々に対しては、受講の可否について11月11日(金曜日)までに株式会社インソースよりお知らせします。

申込期限

受講者募集は終了しました。

お問い合わせ

【研修の内容や基本的な方針について】

森林総合研究所 REDDプラス・海外森林防災研究開発センター

電話番号:029-829-8365

アドレス:redd-rd-center@ffpri.affrc.go.jp

【その他の事柄について】

株式会社インソース(研修運営会社)

電話番号:03-5763-5210

アドレス:bpojigyo@insource.co.jp

皆様のご参加をお待ちしております。