国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 REDD研究開発センター

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平成29年度国際セミナー

本セミナーは終了しました

平成29年度国際セミナー
『REDDプラス展開の鍵は何か?
-現場活動から見えてきた、REDDプラスの実践手法-

開催日:2018年2月7日(水曜日) 10:00-17:30

会場:東京国際交流館 国際交流会議場(東京都江東区青海2-2-1)

主催:国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所

共催:国際熱帯木材機関(ITTO)、独立行政法人国際協力機構(JICA)、森から世界を変えるREDD+プラットフォーム

後援:林野庁、外務省、経済産業省、環境省、日本リモートセンシング学会、日本森林学会、日本熱帯生態学会、森林計画学会

概要

本セミナーでは、今後のREDDプラスへの民間参画の一層の促進に向け鍵となる、排出削減量の低コストな計測手法や地域レベルのREDDプラス活動の評価手法などに焦点を当て、最新情報等の共有及び議論を図りました。

開会セッションにおいては、森林総合研究所の沢田治雄所長による主催者挨拶の後、来賓挨拶において、林野庁の織田央森林整備部長から、REDDプラスの活動推進のためには、緑の気候基金(GCF)に加え、民間資金が積極的に投資される環境の創出の必要性が指摘され、また、本セミナーが民間セクターを含む多様な主体によるREDDプラスの一層の促進につながることへの期待が示されました。

基調講演で広島大学大学院奥田敏統教授は、REDDプラスにおける炭素ストックの増加と生物多様性・住民便益が両立する、などについて指摘がありました。

セッション1では、排出削減量の計測や参照レベルの設定等技術的側面からの民間参画支援に光を当て、様々な国で実践されている計測や参照レベルの設定に関する取り組みを紹介するとともに、これまでの進捗や最新の情報についての共有を図りました。

ここで、FAOのジュリアン・フォックス氏からは、FAOによる途上国への国家森林モニタリングシステム及び測定・報告・検証(MRV)への支援等について紹介が、ベトナム森林インベントリ・計画局のグウェン・ディン・フン氏からは、ベトナムにおける森林参照レベルについての具体的な設定内容について紹介がありました。また、日本森林技術協会の鈴木圭氏からは、コンゴ民主共和国におけるリモートセンシングによる森林地図の作成等の活動の概要が紹介されるとともに、森林モニタリングの今後の役割についての考えが示されました。

セッション2では、一つの地域内で多様な主体が活動する場合の連携の事例、二国間クレジット制度の運用に向けた具体的な取り組み状況などについて紹介するとともに、これまでの進捗や最新情報の共有を図りました。

ここで、林野庁の大仲幸作氏からは、JCMの下でのREDDプラス実施に向けた現状及び成果支払いの重要性が指摘され、CIペルーのミラグロス・サンドバル氏からは、ペルー・サンマルティン州での取り組みについて紹介あった後、先住民グループの参加システムの構築の重要性等が指摘されました。また、森林総合研究所の岡部貴美子氏からは、セーフガードに関する研究成果を披露しつつ、セーフガード配慮が、森林劣化対策や気候変動対策のみならず、SDGsにも貢献可能なものとなることへの期待が示されました。

パネルディスカッションでは、冒頭、ITTOのゲルハルド・ディターレ事務局長から、政府からインセンティブのパッケージを民間部門に提供することが企業参加の条件になるだろう、などのとのREDDプラスにおける課題がコメントされた後、4つのキークエスチョンについて議論が行われました。

取りまとめセッションにおいて、森林総合研究所から、

・REDDプラスを実施することによって、気候変動の緩和だけでなく、森林生態系と生物多様性の保全、地域社会における貧困の緩和などの多様な効果が生まれるべきである。

・資金メカニズムを含むREDDプラスのための国際的な制度を設計・構築し、REDDプラス活動への民間セクターの参画を促進することが必要である。

・研究機関には、研究や技術開発の成果を整理・体系化することにより、これらのメカニズム構築への支援に貢献することが求められている。森林総研としてもそうした期待に応えていきたい。

とのメッセージを発信し、閉会しました。

平成29年度国際セミナー
『REDDプラス展開の鍵は何か?
-現場活動から見えてきた、REDDプラスの実践手法-

基調講演 「REDDプラスの実践と今後の課題 -住民の便益と森林保全活動の両立を目指して-」
 奥田 敏統氏 (広島大学大学院)

写真一般的に、生物多様性と住民便益・生産性は二律背反の関係にあり、その両立が課題であるが、生物多様性はすべての生態系サービスのベースでもある。REDDプラスにおいても、炭素ストックの増加とセーフガードとしての生物多様性と住民便益は、コベネフィットとして両立できる可能性がある。REDDプラスの対象地は、移動式焼畑耕作用地など住民の自然資源への依存度が比較的高い地域が多く、住民便益への配慮が成功へのカギとなるだろう。

森林面積が減少しているミャンマーでは森林及び焼畑用地が減少し、常畑が増加しており、ラオスでは、焼畑民の移住政策を進めた結果、休閑期の短縮、生産力の低下、リーケージ及び住民間の軋轢等の様々な問題が顕在化している。このため、森林減少の抑止は、農業も含めた包括的なアプローチで対処することが必要である。

生産性は自然・社会環境によって変動するが、生物多様性が高い場合、その変動を緩和する効果がある。ミャンマーの焼畑休閑地を調べたところ、焼畑耕作によって生物量は低下した後7~10年で回復するが、植物種数は焼畑後も減少せず、生物多様性が高く保たれていることが明らかとなった。焼畑は小さいモザイク状で耕作されるため、周辺の森林からの生物多様性バックアップシステムが機能しているといえる。この概念は森林管理にも応用でき、生物多様性は生産性回復能力の指標にも使える。REDDプラスにおいても炭素ストックの局所的変動はあるとしても、全体のベクトルを上げていくことが肝要であり、支援と定期的なセンサスが必要である。

短期的な対策のみでは根本的解決とはならず、長期的視点での対策を考えることも重要なことである。

研究者の立場でREDDプラスに取り組んでいくためには、民間企業等と協働するとともに、現地の人たちの話を聞き、双方向のコミュニケーションを取り、横断的に学際的な知識を提供することが必要と考えている。

セッション1:各国の条件に即した排出削減量の計測と参照レベルの設定(モデレーター:齋藤英樹(森林総合研究所))

「REDDプラスのための森林参照排出レベル設定にかかるFAOの取組み:経験と教訓」
 Julian Fox氏 (FAO)

写真これまで70カ国以上がREDDプラスに積極的に関与しており、既に34カ国が森林参照排出レベル(FREL)を国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局に提出している。このうち、ブラジル、マレーシア、コロンビア及びエクアドルの4カ国がREDDプラスの実施結果報告書をUNFCCCに提出し、テクニカルアセスメント(TA)の結果、総計60億トン以上のCO2削減量が見込まれている。これは、IPCC第5次評価報告書で推定される世界の排出量の10%に相当する。

これらのREDDプラスのFREL及び実施結果は、透明性のある国別の森林セクターのデータを提供しており、技術評価プロセスは比較可能性や正確性の改善に役立つ。

FAOは、UNFCCC加盟国の国家森林モニタリングシステム並びに測定・報告・検証(MRV)を様々な形で支援している。この支援アプローチは、各国の既存情報と能力に基づいて、その所有権を尊重しつつ能力構築を図るものであり、FAOの支援方針である包括的な能力開発原則と一致している。また、オープンソース、ツール、技術ソリューションを無償提供している。これにより、各国の実務的、技術的能力が向上し、REDDプラスを超えたさまざまな気候変動対策、NDC報告やSDGsにも大きく貢献することが期待される。

「ベトナムにおける森林参照レベルの設定について」
 Nguyen Dinh Hung氏(ベトナム国森林インベントリ・計画局)

写真ベトナムは2016年1月にFREL/FRLを提出し、TAレビューを受け、その結果を基に改善したFREL/FRLを同年7月に提出したところである。

ベトナムのFREL/FRL は、国レベルで、REDDプラスの5つの活動全てを含むのが特徴である。FREL/FRL は、1995、2000、2005、2010年の4時期の炭素蓄積量(ストック)を推定し、その間の3つ期間それぞれの炭素蓄積変化量を算出して二酸化炭素に換算し、その平均値をFREL/FRLとしている。4時期における炭素ストックは、IPCCのガイドラインに沿って、17の森林タイプ毎の地上部と地下部の炭素ストックを活動データと排出係数によって推定している。炭素密度の高い森林タイプから炭素密度の低い森林タイプに変化したものを森林劣化とみなしている。逆の変化は森林回復、林地から森林への変化は再植林として、FRLを設定している。FRLは1998年から実施されている661プログラム(500万ha国家造林プログラム)の政策効果を考慮するため、若干吸収側に調整を行っている。このベトナムのFREL/FRLに対し、TAからは森林劣化の定義を伐採等による一時的な炭素蓄積減少と区別するため、樹幹率や炭素蓄積減少の閾値等を使ってクリアにすることなどの推奨があり、ベトナムは引き続きFREL/FRLを改善していく予定である。

「コンゴ民主共和国における森林モニタリングの役割」
 鈴木 圭氏 (日本森林技術協会)

写真JICAがコンゴ民主共和国(DRC)の旧バンドウンドゥ州において実施している「森林モニタリングシステム構築プロジェクト」は、サブナショナルレベルでの持続的森林経営実現を目的に、リモートセンシングによる森林地図(活動データ)の作成、森林インベントリによるhaあたりの炭素量(排出係数)の推定、最後にそれらのデータを格納するデータベースの構築の3つのコンポーネントで構成されている。特に、データベースについては、様々な規制をかけたデータ入力システムを開発することによって、別の人が入力しても自動的に標準化され同じ結果が得られるように工夫している。最終的にはFAO等とも協力しながらDRC全体(国レベル)のFREL/FRLを設定することができ、今後はモニタリングからREDDプラスのための活動の方にシフトしていくことになる。

現在、多くの国が国レベルのFREL/FRLを設定しているので、プロジェクトはそれに追従する形で、REDDプラス活動を実施するアプローチが増えてくるだろう。その場合に、プロジェクトレベルのモニタリングは、国レベルでは評価しにくい生物多様性、政策措置、生計向上等を評価する役割が求められる。

セッション2: REDDプラスへの民間参画の課題と機会 (モデレーター:松本光朗 (森林総合研究所))

「JCMの下でのREDD+実施に向けた現状及び今後の展開」
 大仲 幸作氏 (林野庁)

写真REDDプラスは、「REDDプラスのためのワルシャワ枠組み」において実施ルールが合意され、現在は実施フェーズに移っている。さまざまなファンドが準備や実施に向けた支援を行っているが、成果支払いに向けた準備がほぼ整った国も出始めており、今後はGCFを含めた成果支払いの重要性が増すと考えられる。

二国間クレジット制度(JCM)の重要な理念として、パートナー国の持続的発展への寄与、UNFCCC決定との一貫性、二重計上の回避が挙げられる。現在、林野庁はカンボジア、ラオス、ベトナムと重点的に交渉しており、特にガイドラインの作成など技術的支援に注力している。JCMの実施に関しては、スケールアップや、他制度のREDDプラス方法論との一貫性、二重計上の回避などが課題である。

今後、UNFCCではパリ協定実施ルール、GCFでは民間資金の動員等に係る検討がそれぞれ行われる予定である。更に、国際航空業界の気候変動対策の枠組みであるCORSIAに関する検討も予定されている。CORCIAについては、その実施ルールのあり方次第では、REDDプラスへの民間セクターの参画の可能性も高まってくるものと考える。

「サンマルティン州における関係機関との合意形成過程について」
 Milagros Sandoval氏 (Conservation International、ペルー)

写真CIペルーのREDDプラス活動は2008年に開始され、地域政府と協力して地域社会の主導により円卓会議を立ち上げることから始めた。円卓会議の意義は、関係者の理解を高める他、意見が取り上げられる機会を作った事であり、先住民グループの意見が、結果として先住民の土地の権利を保護する様々の措置に繋がっている。また、円卓会議には、アドバイザリーグループの下に技術的及び社会的課題を扱うサブグループがあり、サブグループにより作成された森林減少ベースライン等様々な成果は国レベルの政策策定に採用されており、また、関係者の能力向上にも大きく寄与している。

活動を展開するサンマルティン州はペルー東北部に位置し、移住による小規模農業開発等に起因し森林減少率が最も高い地域となっている。森林減少抑止のメカニズムとして、中小規模プロジェクト活動によるREDDプラスが保護地区内で実施されており、これにより、REDDプラスの計画立案に対して保護地区関係予算も確保されてきている。

今後の課題として、①国内REDDプラスに関連する法的、組織的な枠組みの明確化(特にプロジェクトの扱い)、②民間セクターとの協力、③地域の関係者、先住民グループの参加の促進、先住民が違和感なく参加できるシステムの構築、④民間セクターからの投資を推進するシステムの開発、の4つが挙げられる。

「セーフガードの観点からの今後の取り組み」
 岡部 貴美子氏 (森林総合研究所)

写真REDDプラスセーフガードに関連する議論は、UNFCCCのほかに、人間環境宣言や生物多様性条約でも行われている。また、近年はSDGsについて民間企業の関心も高まってきている。SDGsはREDDプラスセーフガードとも親和性が高い。カンクン合意にはセーフガードの7項目が含まれているが、これらはUN-REDDや世界銀行、CCBA等の既存のセーフガードの項目と非常に親和性が高い。

これらを比較すると、カンクン合意や世界銀行のセーフガードの目的が「リスク対処」であるのに対して、CCBAはセーフガードを制度の柱としている。主に国レベルでの取り組みを対象としているが、世界銀行やCCBAは実施レベルにも対応している。また、世界銀行やCCBAではガイドラインやツールの開発が進められているが、カンクン合意ではそれらは行われていない。

UNFCCCのセーフガードについては、国レベルでウェブプラットフォームを利用した情報提供が定められているが、実施レベルでは定められていない。しかしながら、実施レベルでセーフガードに対処しなければ、プロジェクトが失敗する可能性が高まる。さらに、実施レベルで対処する場合は、リスク評価・実施計画・モニタリングを行い報告することになる。

そこで、民間事業者によるこれら実施の支援のため、ガイドブックや優良事例集、チェックリストを作成している。また、環境便益についても、アプローチの比較分析や重要エリア予測手法等も検討している。

現在セーフガードに関心をもつ日本企業の大半が、これをCSR等の一環として捉えている。セーフガードの配慮を通じて、森林劣化対策や気候変動対策だけでなく、SDGsにも貢献可能なものとなることを期待している。

パネルディスカッション:REDDプラスの展開に向けたこれからの課題と民間参画

モデレーター:佐藤 保(森林総合研究所)

パネリスト:奥田敏統氏、Julian Fox氏、Nguyen Dinh Hung氏、鈴木圭氏、大仲幸作氏、Milagros Sandoval氏、岡部貴美子氏、Gerhard Dieterle氏(ITTO)

写真冒頭、パネルディスカッションからの参加となるITTOのDieterle氏より、REDDプラスの現状に対する認識と今後の課題についてコメントをいただいた上で、REDDプラス促進のための4つのキークエスチョンについて、各パネリストと議論を行いました。

Dieterle氏によるコメント

(1)REDDプラスの便益が住民にもたらされなければ、気候変動の対策は難しい。(2)今後、世界の90億人の生存を保障するだけの森林資源の確保が求められるなか、森林の劣化は想像以上に深刻であり、気候変動上も問題である。化石資源への依存を脱却して、REDDプラスを通じて木材の生産量を増やし、森林の質を高めてバイオエコノミーに移行する必要がある。(3)FCPF等の組織がこの10年のあいだ巨額の資金を投じてREDDプラス制度の構築をすすめてきたが、REDDプラスの制度が複雑であること、政治的な要素で参照レベルが決まること、MRVを長期にわたって行うには能力もコストもかかることなどから、いまだに便益の共有が実現していない。また、今後、便益の分配が行われる段階で、分配の対象者、分配の量をめぐって紛争が起こりうるだろう。加えて、初期コストを支払うことができない国々は、便益を要求できない可能性がある。こうした分配をめぐる問題はREDDプラスが解決しなければならない課題であると考える。 (4)民間セクターのREDDプラスへの参加に関しては、途上国はガバナンスが低いため企業にとってリスクが大きい点が問題である。そこで、政府からインセンティブのパッケージを民間部門に提供することが企業参加の条件になるだろう。

各キークエスチョンに関するディスカッション

キークエスチョン1「現実的なコストで行うことができる適切な精度を有した排出削減量の計測方法とはどのようなものか。」

・排出削減量の算定対象に森林劣化を含めることによるコスト上昇は、地域住民を計測に参加してもらうことにより相殺することが可能であり、住民参加による計測はすでに実施段階に入っている。(鈴木氏)

・精度が向上している人工衛星のデータやオープンソースのソフトウェアの使用、サンプリングの設計の改善等により、計測法の改善をすすめている。(Hung氏)

・ベトナムの取り組みを評価し、政府が計測分野の人材育成にあたる必要性がある。(Fox氏)

キークエスチョン2「参照レベルの設定が途上国各国で進む中、設定に取り組んだ結果得られた今度のMRVにおける課題は何か。」

・既に34カ国から38件の参照レベルがUNFCCCに提出されており、今後も提出資料のデータや測定を段階的に改善し続けることが求められること、既に各国政府は、FCPFやGCFの基準に基づいて参照レベルを改善し、TAも受けていることを指摘し、各方面がFREL/FRLの精度を改善し続けることで他国の参照レベルと比較可能になることが成功の鍵である。(Fox氏)

キークエスチョン3「様々なプロジェクトが同じ地域で存在しているような場合の、関係者間での成果の配分(緩和量、その他利益分配)において、求められる方法はどのようなものか。」

・炭素クレジットやそれに関連する利益は、その成果を出した実際の現場に配分されるべきであり、また事前支払いが必要な場合もある。各国の状況、現場の個別の状況に配慮した資金の分配が検討されるべきである。(Sandoval氏)

・成果支払いが始まったことで、成果の配分、支援の調整という課題が急速に顕在化しており、これらの解決に向けた様々なオプションが検討されるなかでJCMの課題解決に向けたヒントも得られるだろう。(大仲氏)

・FCPFなどからの資金提供は数年間に限定されているため、活動を継続する組織にクレジットを再投資することが重要である。(Dieterle氏)

キークエスチョン4「様々な側面が存在するセーフガードに関して、民間事業者が実施するプロジェクトレベルの取り組みを支援するためには何が必要か。」

・カンクン合意に明示されていないプロジェクトレベルでのセーフガードへの対処が求められる中、追加すべきセーフガードの項目、リスク評価のためのツール、REDDプラスプロジェクトのデザインには様々なオプションが考えられ、それらに対応可能なセーフガードに関するガイダンスの開発等が必要である。(岡部氏)

・ローカルレベルでの豊富な情報や教訓を、国レベルのセーフガード情報システムに取り込むことが可能である。(Sandoval氏)

・今後、REDDプラスが市場ベースで自律的に動く段階に入っていくだろうが、そこでは利益とコンプライアンスがうまく連動しなければならない、換言すればESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGsなどが世界的に企業価値の評価に取り入れられる動きがあるなか、REDDプラスにおいてセーフガード対策をとることにより企業価値を高めることにつながるような流れをつくることが大切である。(奥田氏)

プレゼンテーション資料

セッション1

Julian Fox氏
Nguyen Dinh Hung氏
鈴木 圭氏

セッション2

大仲幸作氏
Milagros Sandoval氏
岡部貴美子氏

パネルディスカッション

Gerhard Dieterle氏

平成29年度国際セミナー
『REDDプラス展開の鍵は何か?
-現場活動から見えてきた、REDDプラスの実践手法-

開催日と会場

2018年2月7日(水曜日) 10:00-17:30

東京国際交流館 国際交流会議場(東京都江東区青海2-2-1)

開催趣旨

REDDプラスは、第19回国連気候変動枠組条約締約国会合(COP19)において、その実施に関わるモニタリング、セーフガード、資金等の技術面や政策面に関する基本的なルールが合意されました。さらに、COP21で採択されたパリ協定においては、REDDプラスの実施及び支援が推奨されています。こうした状況の中で、森林の生態系や生物多様性保全、地域住民の貧困削減等の観点も重視した“多様な効果を生むREDDプラス”への期待は高まりを見せ、現在、途上国各国がREDDプラス推進に取り組んでいます。今後、資金メカニズムの設計を含むREDDプラスの国際的な制度の設計・整備、また、民間セクターによるREDDプラス分野への参入を促すことが求められています。そうした中、こうしたメカニズムを下支えする様々な技術的な課題について、研究開発の成果を整理することは喫緊の課題です。

本国際セミナーは、途上国各国の条件に即した排出削減量の低コストな計測手法をいかに構築するのか、また、国全体の排出削減量において、地域レベルのREDDプラス活動をどのように評価するのか、といった課題に着目しつつ、今後のREDD プラスへの民間参画の一層の促進に向けた課題について議論します。

※案内チラシは こちら からダウンロードできます。(1.3Mb)

キークエスチョン

  • 現実的なコストで行うことができる適切な精度を有した排出削減量の計測方法とはどのようなものか。
  • 参照レベルの設定が途上国各国で進む中、設定に取り組んだ結果得られた今後のMRVにおける課題は何か。
  • 様々なプロジェクトが同じ地域で存在している場合の、関係者間での成果の配分(緩和量、その他利益配分)において、求められる方法とはどのようなものか。
  • 様々な側面が存在するセーフガードに関して、民間事業者が実施するプロジェクトレベルの取組みを支援するためには何が必要か。

プログラム(敬称略)

基調講演 REDDプラスの実践と今後の課題-住民の便益と森林保全活動の両立を目指して-

奥田 敏統(広島大学)

セッション1 各国の条件に即した排出削減量の計測と参照レベルの設定

Julian Fox(FAO)
Nguyen Dinh Hung(Forest Inventory and Planning Institute、Viet Nam)
鈴木 圭(日本森林技術協会)

セッション2 地域におけるREDDプラス活動と民間参画

大仲 幸作(林野庁)
Milagros Sandoval(Conservation International Peru)
岡部 貴美子(森林総合研究所)

パネルディスカッション REDDプラスの展開に向けたこれからの課題と民間参画

奥田 敏統    Julian Fox    Nguyen Dinh Hung
鈴木 圭     大仲 幸作     Milagros Sandoval
岡部 貴美子   Gerhard Dieterle(ITTO)