国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
REDDプラス・海外森林防災研究開発センター

文字サイズ

REDDプラスの背景と経緯

REDDプラスとは

REDD プラスは、途上国が行う森林減少・森林劣化を抑制する取組み(「REDD」活動)によるCO2の排出削減、森林保全等(「プラス」活動)によるCO2の排出防止および炭素固定による大気中のCO2の削減に対して、何らかの経済的インセンティブ(資金やクレジット)を与えるというのが基本的な考え方です。その際、REDD プラスのための取組みを実施しなかった場合と比較して、実際にどの程度の削減が実現したかを定量化するために、参照排出レベルおよび参照レベルを設定します。

排出削減量の考え方

REDDプラスは、2013年の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第19回締約国会議(COP19)において「REDDプラスのためのワルシャワ枠組み」が採択され、さらに2015年のCOP21において積み残しの課題が合意に至り、主な技術的検討は終了しました。一方、技術的検討が終了したことを受けて、各国で具体的なREDDプラスの取り組みが本格化しており、資金に関する議論も活発化しています。

現在は、支援の調整やパリ協定の実施ルール(緩和、透明性、市場メカニズム等)と関連する形で検討が続けられています。例えば、森林炭素パートナーシップ基金・炭素基金(FCPF-CF)では、結果に基づく支払いの価格や自国が決定する貢献(NDC)における排出削減量の取り扱い等について途上国側と交渉が進められています。また、緑の気候基金(GCF)でも、結果に基づく支払いに関するパイロットプログラムのルールが策定されました。資金規模が大きなFCPF及びGCFの議論は、今後のREDDプラスの行方を大きく左右する可能性が高く、その動向には十分注意する必要があります。

※AWG-LCA: 気候変動枠組み条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会

※SBSTA: 科学技術上の助言に関する補助機関

※SBI: 実施に関する補助機関

各種交渉枠組の変遷

気候変動枠組条約締約国会議(COP)
気候変動枠組条約における最高意思決定機関です。全ての条約締約国が参加し、条約の実施に関するレビューや各種決定を行います。年に1回開催されます。
京都議定書締約国会合(CMP)
京都議定書に関する締約国会合です。全ての議定書締約国が参加し、議定書の実施に関するレビューや各種決定を行います。年に1回開催されます。
パリ協定締約国会合(CMA)
パリ協定に関する締約国会合です。全ての協定締約国が参加し、協定の実施に関するレビューや各種決定を行います。年に1回開催されます。
補助機関会合(SB)
「科学上及び技術上の助言に関する補助機関」(SBSTA)並びに「実施に関する補助機関」(SBI)の2つの補助機関の会合です。SBSTAは条約及び議定書に関し、科学上及び技術上の情報及び助言を提供し、SBIは条約及び議定書の効果的な実施を評価及びレビューします。年に2回開催されます。
パリ協定特別作業部会(APA)
パリ協定の採択を受けて、協定の発効及びパリ協定第1回締約国会合の準備のために設立された補助機関です。協定の実施のための指針等の策定等について協議されます。原則として、年に2回開催されます。
強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)
ADPは、1.全ての国に適用される2020年以降の新しい枠組み、また2.2020年までの緩和の野心の向上について議論を行うために設置された補助機関です。パリ協定を採択した2015年末のCOP21において、その活動を終了しました。

出典:
外務省Webサイト(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/kiko/cop_sb_index.html)
外務省Webサイト「国連交渉(COP,CMP,CMA,SB,APA)」(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/kiko/cop_sb_index.html)を編集・加工して作成。