国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
REDDプラス・海外森林防災研究開発センター

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国連気候サミット報告

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国連気候サミット報告 - 針原農林水産審議官がForest PaviliondeREDDセンターを紹介

国連気候サミット

9月23日、潘基文国連事務総長のイニシアチブにより国連気候サミットがニューヨーク・国連本部で開催され、オバマ米大統領,バローゾ欧州委員会委員長,ウマラ・ペルー大統領(COP20議長国),オランド仏大統領(COP21議長国)等,計178か国・地域の首脳及び閣僚が参加しました。 我が国からは安倍総理が出席し、地球温暖化対策に関する日本の取組を紹介するスピーチを行いました。

サミットは、気候変動対策について政治的意思を高め、気候変動枠組条約(UNFCCC)の交渉に弾みをつける目的で開催されました。オープニングでは潘基文事務総長、国連平和大使のレオナルド・ディカプリオ氏等が地球温暖化対策の必要性を訴え、その後、首脳レベル、閣僚レベルのスピーチが行われました。また、資金、エネルギー、森林、農業、強靱性、産業、運輸、都市の8つの分野において、官・民・市民社会等の多様な者が共同で地球温暖化に対する取組を発表する分科会が開催され、各分野における新たな取組や宣言等が発表されました。

外務省:国連気候サミット(概要と評価)(和文)

国連気候サミットの概要 (英文)

「森林に関するニューヨーク宣言」採択

森林分野については、インドネシアのユドヨノ大統領とノルウェイのソルベルグ首相の共同議長により分科会が行われ、気候変動対策における森林の重要性を確認し、行動を加速化するための拘束力のない目標が記された「森林に関するニューヨーク宣言」と、自主的な努力の目安となる「行動指針」の発表が行われ、我が国をはじめとする32カ国、20の地方自治体、40の企業、16の先住民団体、49のNGO/CSOが宣言及び取組に参加しました。「森林に関するニューヨーク宣言」はさらに今年ペルーのリマで開催されるCOP20、さらに来年フランス・パリで開催されるCOP21までさらに多くの参加を呼びかけており、同宣言の採択を希望する政府、地方自治体、民間企業、NGOに対し、連絡窓口※が設けられています。

写真1 国連本部・気候サミット森林分科会「森林に関するニューヨーク宣言」採択風景

森林に関するニューヨーク宣言 、同宣言のための行動指針 (英文)

林野庁:持続可能な森林経営に向けた取組について(和文)

国連気候サミット閣僚級サイドイベント「森林パビリオン」

同日、国連気候サミットの閣僚級サイドイベントとして「森林パビリオン」が開催され、我が国からは針原農林水産審議官他が参加しました。針原農林水産審議官は、「パネルディスカッション:先進国の役割 - 国際的なインセンティブと支援」のセッションでデイビィ・英国エネルギー気候変動大臣、スントフ・ノルウェイ気候変動環境大臣、ヘンドリクス・ドイツ環境大臣他と並んで登壇し、我が国の森林分野の国際協力の特徴、ITTO等国際機関の取組への支援について述べるとともに、具体的な取り組みとして、森林総合研究所REDD研究開発センターの活動やREDD+の総合的な技術ガイダンスとなる「REDD+ COOKBOOK」を紹介しました。

国連気候サミットプログラム

写真2 「森林パビリオン」におけるパネルセッション「先進国の役割」で発言する針原農林水産審議官(左から3人目)

針原農水審は、英国、ノルウェイ、ドイツの3大臣による新たな拠出に関する話題の後の登板でしたが、「日本はDACで2位の拠出国であるが、量より質を重視している。要請主義に沿い、それぞれの国のオーナーシップを重視して持続性を確保する協力をしている」等主張し、参加者に強く印象づけるものとなりました。事務局からも、日本の参加により「共に多様性のある貢献という特徴(nature of unity in diversity)」を示すことができて良かったと感謝されました。また、「REDD+ COOKBOOK」を紹介した際は、ユニークな名前に会場から笑いが起こるという一幕もあり、モデレーターのフランシス・セイモア氏(Center for Global Development)の温かい雰囲気作りと相まって、大いに盛り上がりました。

同サイドイベントでは、「民間セクターの役割」、「政府の役割」、「先進国の役割」、「先住民とそのテリトリー」、「森林回復の推進」といった5つのパネルセッションが次々に開催され、セッションごとに観客の入れ替わりもありましたが、常に立ち見が多くでる盛況で、登録は700名ほどに上りました。

まとめ

今年は国内外で異常気象が報じられる中、IPCCが第五次評価報告書を通じて警鐘を鳴らし、全てのセクターで気候変動対策に取り組む必要性が改めて見直されています。森林分野についても、AR5でその緩和ポテンシャルとコベネフィットの重要性が強調されていますが、一方、食糧問題やエネルギー問題とのトレードオフ、様々な社会問題との関連性も大きな課題となり、森林問題は新たな局面を迎えつつあります。このような中、今回の国連気候サミットでは、喫緊の課題はやはり森林問題であることを再認識し、森林分野の取組について関係者が改めて焦点を明確にして取り組むという意思統一を図る機会となったように感じられます。「森林に関するニューヨーク宣言」は各国政府だけのものではなく、民間団体やNGOにも参加の呼びかけがなされています。同宣言が現実を動かす力となるよう、この機会に我々も改めてその内容について自分ごととして考えてみたいものです。ご関心のある方は是非、下記の連絡窓口にご連絡下さい。ご不明な点等ありましたら、下記林野庁海外林業協力室にご相談下さい。

なお、「森林に関するニューヨーク宣言」の参加国・団体等のリストは、今年12月1日からペルーのリマで開催されるUNFCCCのCOP20前にアップデートしたものが公表される予定です。どうぞお早めに!

※UNDP連絡窓口

Charles Ian McNeill, Ph.D.,
United Nations Development Programme (UNDP)
Email: charles.mcneill@undp.org
日本国内の問い合わせ先
林野庁海外林業協力室
課長補佐(海外技術) 井上泰子
Email: yasuko_inoue@nm.maff.go.jp