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UNFCCC強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会第2回会合第10セッション(ADP2-10)におけるREDD+関係の結果概要
林野庁森林利用課 森林保全推進官 塚田直子 (REDDセンターだより 2015年度No.4 掲載)
1.はじめに
8月31日月曜日から9月4日金曜日にかけて、ドイツ・ボンにおいて、国連気候変動枠組条約の下の「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)」第2回会合第10セッション(ADP2-10)が開催され、2020年以降の全ての国が参加する新たな気候変動対策の枠組みにおけるREDD+の位置づけについても議論が行われましたので概要を紹介します。2.概要
今回の会合では、7月24日に公開された共同議長による交渉テキストをもとに、年末の合意文書やCOP決定文書に盛り込むべき要素について議論が行われました。 共同議長ペーパーは、全体を①合意文書案、②COP21決定文書案、③その他、の3つのパートに区分し、これまで各国から提案された様々な意見について、対立点については両論併記する形で整理されました。REDD+という言葉については、①の合意文書案には登場せず、②、③の緩和、資金、透明性等の各章に分散して記述されてました。同時に、先進国・途上国の農業や土地利用関連の活動を広く含む「土地利用セクター」という言葉も①から③の緩和、資金、透明性等の各章に記述されました。 会合は、交渉テキストの章(緩和、適応、資金、等)毎に、共同議長から任命された共同ファシリテーターが議長を務めるファシリテーター会合において行われ、各章のさらに特定の要素については、ファシリテーター会合の下に設けられた非公式(スピンオフ)グループにおいて検討が進められました。REDD+については、9月3日に緩和のファシリテーター会合の下に「土地利用とREDD+」の非公式グループ(議長:英国 Shannan Murphy)が設けられ、先進国、途上国を含む25か国・地域からそれぞれ意見表明がなされました。 先進国、途上国含め意見表明を行った国の多くが、土地セクターはその緩和ポテンシャルの大きさから非常に重要であり、その取り組み内容は各国が決定すべきと述べ、また、パナマが代表する熱帯雨林諸国連合(CfRN)やチリ、フィリピン、インドネシア、ガーナ、モザンビーク等多くの途上国がREDD+について合意文書で明確に位置づけることを主張しました。一方、ブラジルは特定のセクターを合意文書の中で特記することは不要、REDD+はあくまでも資金メカニズムであり市場メカニズムではない、との考えを表明しました。また、ボリビアはREDD+は結果ベース支払いの仕組みであり、もしREDD+という略語を合意文書に盛り込むのであればJMA(緩和と適応のジョイントアプローチ)も同様に盛り込むべきと主張しました。我が国からは、土地セクターの算定は各国の事情を踏まえた柔軟性と活動へのインセンティブが付与されるべきこと、さらに、算定ルールは既存のアプローチを基に構築すべき旨主張しました。これらの各国意見については最終日の緩和セクションのファシリテーター会合でスピンオフグループ議長の英国から報告がなされました。 最終日の9月4日、次回のADP会合(ADP2-11)は10月19日から23日にかけてボンで開催すること、今回の議論を踏まえた共同議長ペーパーを10月第一週に公表すること等が共同議長から発表されて閉会しました。3.おわりに
今回の会合では、REDD+について、「土地利用セクター」の一部として位置づけるのか、そこから取り出して特筆すべきなのか、また、REDD+は緩和活動として位置づけるべきなのか、資金メカニズムとして位置づけるべきなのか、といった点が大きな論点となりました。これらの点については各国の意見が分かれる結果となりましたが、11月30日からパリで開催されるCOP21における合意をめざし、今後の交渉会合を通じて一致点を見いだす必要があります。また、各国の貢献約束の中での位置づけや進捗管理の方法、さらに市場メカニズムとしての扱いなどについて議論を深めていく必要があります。10月に予定されている次のADP会合では、具体的な条文についての交渉が開始される予定です。REDD+については、これまでのSBSTAでのREDD+の技術ガイダンスに関する議論の成果を踏まえ、地球全体の削減レベルの向上につながるものとなるよう、柔軟で信頼性の高い枠組みを構築することが求められています。UNFCCC強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会第2回会合第10セッション(ADP2-10)
日程
平成27年8月31日(月)~平成27年9月4日(金)
場所
ドイツ・ボン