国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
REDDプラス・海外森林防災研究開発センター

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ADP2-11

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気候変動枠組条約・強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)第2回会合第11セッション(ADP2-11)

林野庁計画課海外林業協力室 課長補佐 井上泰子 

1. 概要

10月19日月曜日から10月23日金曜日にかけて、ドイツ・ボンにおいて国連気候変動枠組条約の下の「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)第2回会合第11セッション」が開催され、2020年以降の全ての国が参加する新たな気候変動対策の枠組に関する議論が行われましたところ、REDD+に関連する議論の概要についてご報告します。

(1) 全体の交渉

本年2月、6月、8-9月に開催されたADP会合を経て、10月5日に、法的合意案とCOP21決定案を含む20ページからなる「共同議長提案文書」が公表されました。今次会合では、当該文書を基に議論が行われる予定でしたが、会合初日(19日)のプレナリー会合において、開発途上国グループ(G77+中国、アフリカ・グループ等)が、自らの立場が反映されていないことを理由に、これを基に議論することに反対し、まずは各国が必須と考える要素を盛り込むこととなりました。

会合2日目(20日)未明には、各国の提案を盛り込んだ「法的合意及びCOP21決定のテキスト案」が作成され、更に7つのスピン・オフ・グループと一つのコンタクトグループで交渉が行われることとなりました。各国からの提案は23日までの会期中UNFCCCのウェブサイトに随時掲示され、法的合意案およびCOP21決定案に追加されていくこととなりました。この結果、提案数は126にのぼり、ADP2-11の最終的な法的合意とCOP21決定のテキスト案は51ページに増加しました。

各国からの提案

10月23日の法的合意案およびCOP21決定案(ADP2-11最終テキスト案)

(2) REDD+に関する交渉

パナマがREDD+に関心のある途上国の意見をとりまとめ、熱帯雨林諸国連合(Coalition for Rainforest Nations: CfRN)として、法的合意案の前文、定義、緩和、資金等やCOP21決定案にREDD+に関する要素を盛り込む内容の提案を行いました(上記各国からの提案の7番)。これに対し、COMIFAC(中央アフリカ森林協議会)諸国やAILAC(南米・カリブ独立連合)がREDD+を法的合意に明示的に含めることに支持を表明しました。

1) 前文

前文については、CfRNとノルウェイが森林に関する提案を行ったのを受け、我が国もこれらの提案をベースに、吸収源・貯蔵庫としての森林の役割の重要性を強調するとともに、生態系サービスや生物多様性、脆弱性への対処等のセーフガード要素について言及し、かつ前文としては技術的すぎる表現を避けつつ、関心各国が歩み寄りうる案を考案し、各国に働きかけました。この結果、CfRNおよび数カ国の先進国と共同で提案書を提出し(上記「各国からの提案」の111番)、ADP2-11最終テキスト案に反映されました(前文13項)。ノルウェイ提案については、アルゼンチンが土地利用に関しては食料安全保障に特化した書きぶりとすべきと主張し、元のノルウェイ案と合わせて2つのオプションが並立しています(前文12項)。

2) 緩和

CfRNがREDD+についての独立した条文(法的合意案3bis条1-3項)を提案、ボリビアが緩和と適応の統合アプローチ(Joint Mitigation and Adaptation Approach; JMA)を提案(同4項)されていますが、ブラジルが、REDD+や土地利用等の文言を法的合意文書に入れることに反対しています。

市場メカニズムについては、クレジットの国際移転について、UNFCCCの下での統一的なものとすべきとの案が「協力アプローチ」として主張されましたが、それ以外の様々なアプローチによるものが認められうるべきと考える関心国の意見も踏まえ、これらの考え方を整理する案が提出されました(法的合意案3条16項、上記「各国からの提案」106番)。

2. まとめ

上述のとおり、現在51ページに増加した法的合意とCOP21決定のテキスト案については、重複している部分もあり、整理が必要な状況です。23日に開催された最終プレナリーにおいて、今後は、事務局が相互に関連するパラグラフと重複を特定した技術ペーパーを作成することが決定されました。

11月30日から12月11日までフランス・パリで開催されるCOP21での合意に向けて、こうした現状テキスト案と技術ペーパーをベースに、各国が自主的に合意に向けた検討を進めることが求められています。

REDD+については、SBSTAで議論された決定文書をCOP21で採択して議題を終了するとともに、法的合意、COP21決定において適切に位置づけられることが、途上国・先進国、公的・民間のいずれにとっても取り組みを長期的な視野で安定的に進めるためにも重要と考えています。

ADP2-11 初日のプレナリー会合にて。オブザーバー、報道機関も多く立ち見が出た。

UNFCCC 強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会第2回会合第11セッション(ADP2-11)

日程

平成27年10月19日(月)~10月23日(金)

場所

ドイツ・ボン

概要

詳細サイト(リンク)

  

UNFCCC