令和元年度国際セミナー
「REDDプラス・始動元年2020 - 持続可能な開発のための国際移転可能な成果に向けて」
「REDDプラス・始動元年2020 - 持続可能な開発のための国際移転可能な成果に向けて」
開催日時:2020年1月21日(火) 10:00~17:30
会場:東京大学 伊藤謝恩ホール(東京都文京区本郷7-3-1)
主催:国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所
共催:国際熱帯木材機関(ITTO)、独立行政法人 国際協力機構(JICA)、森から世界を変えるREDD+プラットフォーム
後援:林野庁、外務省、環境省、日本リモートセンシング学会、日本森林学会、日本熱帯生態学会、森林計画学会
概要
本セミナーは2015年度から実施してきた林野庁補助事業「REDD+推進民間活動支援事業」の5年間の集大成として、本事業による研究開発の成果である、信頼性の高い実施や支援の取り組みを行うために有効なガイドラインやツール等について紹介し、その普及を図るとともに、わが国が推進する二国間クレジット制度(JCM)なども含まれるパリ協定に位置付けられた「協力的アプローチ」による緩和成果の国際移転のガイダンス等に関する交渉の状況やREDDプラス実施国の取組、具体的なプロジェクトのグッドプラクティスについて共有し、今後の展望について議論することを通じて、我が国の民間セクターを含む多様なステークホルダーの更なるREDDプラスへの取組のポテンシャルの拡大を展望することを目的に開催されました。今回のセミナーには国際機関から民間企業まで、国内外から幅広く登壇者・参加者を集め、合計173名の参加がありました。
なお、プレゼンテーションファイルと議論の概要は「発表ファイル」タブの下に掲載されています。
①基調講演
まず、FAO/UNREDDのマルゴラザタ・ブシュコ‐ブリッグス プログラムオフィサーより「REDDプラスの歴史と展望:UN-REDDプログラムの10年間の取り組み」というグローバルな視座から、REDDプラスの進展と今後の展望に加え、包括的なREDDプラスの現況について報告がなされました。
続いて、REDDプラス実施国からの報告として、ミャンマーの天然資源・環境保全省のニイ・ニイ・キョウ 森林局長より、「ミャンマーにおけるREDDプラスの結果に基づく支払いと持続可能な開発支援」と題し、同国における戦略的なREDDプラスの活用と貧困削減や環境保全に資する取組みについて発表がありました。
②セッション1:プラスの技術的ツールとガイダンス
このセッションではREDDプラスの技術的側面に焦点をあて、森林減少だけでなく森林劣化を考慮した長期の森林炭素モニタリングを行うことの重要性や、国別の排出削減目標の達成にREDDプラスが貢献するための報告段階での基本的な考え方について議論しました。
はじめに、森林総研森林植生研究領域の佐藤保 領域長が「REDDプラスにおける森林炭素モニタリングの意味」と題した発表を行い、森林総研で新たに開発した全8種のCookbook Annex等の技術解説書の紹介と共に、炭素固定にかぎらず、生態系サービスにおける森林からの便益は多様性保全なども含まれることや、樹木の種多様性の高い林分では、炭素固定できる量も大きいことから、森林劣化のモニタリングと共に、種多様性を評価することが重要であり、これに対応できる人材の育成とモニタリング体制の構築が望ましいことを示唆しました。
続いて、IPCCタスクフォースインベントリ技術支援ユニットのサンドロ・フェデリチ ユニット長は「削減目標(NDC)の達成におけるREDDプラスの役割と国別報告書への反映」と題した発表を行いました。UNFCCCに提出されている197の国別報告書のうち55か国の報告にREDDプラスの活動が含まれているが、報告方法は統一されておらず、森林がNDCに含まれるとき、国が実施したREDDプラス活動はどう扱うか等の検討が必要であると発表しました。
③セッション2:REDDプラスの制度とクレジットの今後の展望
このセッションではREDDプラス活動推進において重要な要素の一つである、市場メカニズム等(パリ協定6条を含む)の制度的機会と課題について、日本の二国間・多国間協力やペルーのコミュニティレベルの取り組みの経験等を基に議論しました。
はじめに、森林総研気候変動研究室の江原誠 主任研究員から「REDDプラスプロジェクトによるパフォーマンスの国レベルでの評価」と題し、REDDプラス事業者にとって、自身のプロジェクトのパフォーマンスが国レベルで適切に評価されることが重要であり、これについてカンボジアにおける研究成果により開発された手法を中心とした報告がありました。
次に、JICAの森田隆博 地球環境部審議役兼森林・自然環境グループ次長より「JICAによるREDDプラス国際協力の取り組み」について発表がありました。REDDプラスについて、①途上国の自主性を促し各国の実態に合わせた支援の実施、②JAXAとの協力でリモートセンシング技術を活かすなど我が国の知見・技術の最大限の活用、③限られたリソースの中でのグローバルレベルパートナーシップの重視という3つの方針のもとに実施している各国での活動などについて報告しました。
続いて、環境省地球環境局地球温暖化対策課市場メカニズム室の宇賀まい子 主査は「パリ協定6条の実施及び二国間クレジット制度(JCM)」について発表し、COP25において、JCMやCORSIAも関係する市場メカニズムに関する6条2項の交渉においては、特に緩和の成果のダブルカウント(二重計上)の防止ルールが重要議題であったことを報告しました。また、6条4項に関しては特に京都議定書下のCDMのプロジェクトで発行されたクレジットの移管の可否が重要論点となり、残念ながら6条関連のすべての重要議題の決着を見ることはできませんでしたが、次期COP26における議論に向けた道筋が見えたと評価できる状況にあるとの報告がありました。
最後に、ペルーのNGOであるAIDERのシルビア・マイタ氏が「AIDERの取り組み:ペルー・ウカヤリ県の先住民コミュニティにおけるREDDプラスプロジェクト」と題した発表の中で、AIDERがUSAIDやAltheria Fundsからの支援により実施している、ウカヤリ県での12万haの森林に渡る7つの先住民村落を対象としたREDDプラスプロジェクトによる具体的な取り組みについて紹介しました。
④パネルディスカッション:REDDプラス支援活動への民間参画を推進するためには何が必要か
冒頭に基調発表として、コンサベーションインターナショナルジャパン(CI)の浦口あや テクニカル・ディレクターが「カンボジア(JCM)REDDプラスの事例」について発表を行いました。三井物産、CI、カンボジア政府の実施するJCMによるREDDプラスプロジェクトを紹介し、その活動の土台や事業モデルが成功するための条件などについて報告しました。
続くディスカッションにおいては、はじめの2つのセッションで紹介された技術的な成果を踏まえ、民間参画の一層の促進に向け、「コミュニティや投資する企業は、REDDプラスに何を期待しているのか?」「民間セクターの支援により、市場アプローチや、緩和成果の国際移転、例えばJCMなども含まれるREDDプラスを推進するためには何が必要か?」「REDDプラス実施への民間参画を推進し、それを信頼性の高い取り組みとするために、REDDプラスを実施する国や企業に技術的な側面では何が必要か?」の3つのカギとなる質問について活発な議論が行われました。FAO/UNREDDのブシュコ-ブリッグス 博士より、REDDプラスに投資する企業は、リスクを予測・対処した上で、地域住民の生活向上等も含めて、長期的なコミットメントが必要であること、JCMの経験を生かした仕組みづくりにより、民間セクターのREDDプラスへの参画を支援する必要があるとの見解が示されました。また、今後、REDDプラスの信頼性を確保するために取り組むべき課題として、ベースラインの設定、国家GHG排出(吸収)量インベントリ及び国際的なシステムとの統合の必要性を挙げました。
⑤閉会セッション
森林総合研究所のREDD研究開発センターの平田泰雅 センター長が、「始動元年」というセミナータイトルについて改めてその重みについて概説した後、民間を含めたより多くのステークホルダーの参加を促進し、いかに緩和というグローバルな課題と適用というローカルな課題を融合して行くかについて貴重なヒントが得られたとセミナーを総括しました。
令和元年度国際セミナー
「REDDプラス・始動元年2020 - 持続可能な開発のための国際移転可能な成果に向けて」
「REDDプラス・始動元年2020 - 持続可能な開発のための国際移転可能な成果に向けて」
開催日と会場
開催日:2020年1月21日(火曜日) 10:00-17:30 (09:30 開場)
会場:東京大学 伊藤謝恩ホール(東京都文京区本郷7-3-1)
開催趣旨
2005年に開始されたREDDプラスにかかる国連気候変動枠組条約(UNFCCC)における議論は、2015年の第21回締約国会合(COP21)で採択されたパリ協定において位置づけられました。パリ協定は2018年12月に実施されたCOP24で緩和成果の国際移転に関する条項を除く全ての実施指針に合意し、2020年の本格的実施に向けた取り組みが開始されています。
森林総研では、2010年にREDD研究開発センターを立ち上げ、我が国が発案した二国間クレジット制度(JCM)によるものをはじめとするREDDプラス活動の支援と実施による緩和成果の国際移転を可能するための様々なツールを研究開発してきました。
今年度は林野庁補助事業「REDD+推進民間活動支援事業」の最終年度に当たり、本国際セミナーにおいては、この集大成として、本事業による研究開発の成果を中心に、信頼性の高い実施や支援の取り組みを行うのに有効なガイドラインやツールについて発表します。
また、わが国が推進する二国間クレジット制度(JCM)なども含まれる「協力的アプローチ」による緩和成果の国際移転や、約束草案の達成への貢献を可能とする仕組みの展望、今後更に活発化されることが見込まれる自主的な認証制度によるグッドプラクティス等の担当者や実際に活動する民間企業の登壇を得て知見を得、情報共有・交換を行い、我が国の民間セクターを含む様々なステークホルダーの更なる参加による多様なREDDプラスの取り組みによるポテンシャルの拡大を展望する機会を提供します。
なお、Cookbook、Cookbook Annex、虎の巻等やその他の文献等の成果物や、一般公募も含めたパネル展示等を行い、休憩時間等にも成果の普及に努め、参加者の情報交換に資することを目指します。
お知らせ
※セミナー会場の展示スペースへのパネル展示を公募いたします。ご希望の方は、参加申込フォームの「ポスターセッション」にご記入ください。
※案内チラシは こちら からダウンロードできます。(1.3Mb)
令和元年度国際セミナー
「REDDプラス・始動元年2020 - 持続可能な開発のための国際移転可能な成果に向けて」
全体概要
時間 | 氏名 | 所属 | プログラム | 報告 |
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10:00 | 開会セッション | |||
10:00 - 10:30 | 沢田 治雄 | 森林総合研究所 所長 | 開催挨拶 | 議事録 |
ゲァハート・ディタレー | ITTO 事務局長 | 共催者挨拶 | 議事録 | |
本郷 浩二 | 林野庁 長官 | 来賓挨拶 | 議事録 | |
井上 泰子 | 森林総合研究所 | 開催趣旨説明 | 議事録 | |
10:30 - 11:50 | モデレーター : 井上 泰子 (森林総合研究所) |
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基調講演1 : REDDプラスの歴史と展望:UN-REDDプログラムの10年間の取り組み | ||||
マルゴラザタ・ブシュコ-ブリッグス | FAO/UN-REDD プログラムオフィサー | REDDプラスの歴史と展望:UN-REDDプログラムの10年間の取り組み | 議事録 | |
基調講演2 : ミャンマーにおけるREDD+の結果に基づく支払いと持続可能な開発支援 | ||||
ニィ・ニィ・キョウ | ミャンマー天然資源・環境保全省 森林局 局長 | ミャンマーにおけるREDD+の結果に基づく支払いと持続可能な開発支援 | 議事録 | |
質疑応答 | ||||
11:50 - 12:55 | 昼休み | |||
12:55 - 14:10 | セッション1 : REDDプラスの技術的ツールとガイダンス | |||
モデレーター : 宮本 和樹 (森林総合研究所) |
冒頭説明 | |||
佐藤 保 | 森林総合研究所 | REDD+における森林炭素モニタリングの意味 | 議事録 | |
サンドロ・フェデリチ | IPCC タスクフォースインベントリーの技術支援ユニット長 | 削減目標の達成におけるREDDプラスの役割と国別報告書への反映 | 議事録 | |
ルース・トゥリア [当日欠席] | PNG森林公社 局長 | REDDプラスへの道:PNGの挑戦と機会 | ||
質疑応答 | ||||
14:10 - 15:45 | セッション2 : REDDプラスの制度とクレジットの今後の展望) | |||
モデレーター : 森田 香菜子 (森林総合研究所) |
冒頭説明 | |||
江原 誠 | 森林総合研究所 | REDDプラス プロジェクトによるパフォーマンスの国レベルでの評価 | 議事録 | |
森田 隆博 | JICA 地球環境部 審議役 兼 森林・自然環境グループ次長 | JICAによるREDDプラス国際協力の取り組み | 議事録 | |
宇賀 まい子 | 環境省 地球環境局 地球温暖化対策課 市場メカニズム室 主査 | パリ協定6条の実施及び二国間クレジット制度(JCM) | 議事録 | |
シルビア・マイタ | AIDER ペルー | AIDERの取り組み:ペルー・ウカヤリ県の先住民コミュニティにおけるREDDプラスプロジェクト | 議事録 | |
質疑応答 | ||||
15:45 - 16:15 | コーヒーブレイク&ポスターセッション | |||
16:15 - 17:20 | パネルディスカッション | |||
モデレーター : 柱本 修(ITTO 次長 / 森林管理部長) |
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浦口 あや | CIジャパン テクニカル・ディレクター | 導入報告 | ||
パネリスト :
- マルゴラザタ・ブシュコ-ブリッグス(FAO/UN-REDD) - ニィ・ニィ・キョウ(ミャンマー天然資源・環境保全省 森林局) - 佐藤 保(森林総合研究所) - サンドロ・フェデリチ(IPCC) - 江原 誠(森林総合研究所) - 森田 隆博(JICA) - 宇賀 まい子(環境省) - シルビア・マイタ(AIDER ペルー) - 浦口 あや(CIジャパン) | 議事録 | |||
17:20 - 17:30 | 平田 泰雅 | 森林総合研究所 | まとめ・閉会挨拶 | 議事録 |
17:30 | 閉会 |
【ご参考共有】
専門家会合発表ファイル(1月20日(月)13:00-17:00)
REDDプラスの挑戦:約束から進化へ | ||
ニール・マリオット | Carbon-Plus Capital LLP ファウンダーパートナー | REDDプラスの挑戦:約束から進化へ |
ミャンマーにおけるREDDプラスへの支援、投資とそれを効果的に活用するための組織的対応 | ||
タン・ナイ・ウー | ミャンマー天然資源・環境保全省 森林局 森林研究所長 | ミャンマーにおけるREDDプラスへの支援、投資とそれを効果的に活用するための組織的対応 |