国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
REDDプラス・海外森林防災研究開発センター

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2019年度 No.5 (10/10) 森林総研REDD研究開発センターだより2019年度 No.5


◇◇◇ 森林総研REDD研究開発センターだより2019年度 No.5 ◇◇◇
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発行年月日: 2019年10月10日
国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
REDD研究開発センター

トピックス

◆1.REDD研究開発センターより
◆2.現場レポート
◆3.その他 (他所主催の関連イベント・ニュース情報)
◆4.REDDセンターリレーコラム 第五回 所 雅彦 “日本のお花見が危ない!?”

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◆1. REDD研究開発センターより

 皆様、秋の実りがおいしい季節となりました。いかがお過ごしですか?
 秋には、国連総会をはじめ国際的にも様々なイベントが開催されています。
 9月23日には、ニューヨークで開催された国連総会に関するイベントの一つとして、気候アクションサミット(Climate Action Summit)2019が開催されました。森林分野も自然を主体とした解決策(Nature Based Solution)の一つとしてポートフォリオに位置付けられました。
 また、9月29日から10月5日まで、ブラジルのクリチバで国際林業研究機関連合(IUFRO)第25回世界大会が開催され、世界各国から2000人の研究者が参加しました。IUFROはこれに先立ち、「熱帯林の消失は、人類の存亡にかかわる問題だ」と題し「熱帯林の減少は水の循環に悪影響を及ぼし、降雨のパターンを変え、災害や干ばつを引き起こしている証拠が一層集まってきている」と訴えるプレスリリースを発表しました。
 乾期の終わりに向け、「地球の肺」ともいわれるブラジル・アマゾン、アフリカのコンゴ盆地、インドネシアに代表される多くの箇所での熱帯林で火災が発生し、待ったなしとみなす国際的な機運が高まっています。
 さて、今号では、森林分野を含むSDGsの目標15を含むテーマに関するシンポジウム情報などを掲載しています。ぜひご参加下さい。
 秋と言えば紅葉。都会の紅葉でひときわ目を引く、春にはピンクの花で目を楽しませてくれた桜の木々は紅葉も美しいですよね。その桜が今、外来の昆虫の蔓延で枯死が進んでいること、ご存知でしたでしょうか。今月号のコラムでは、昆虫の研究者でもある当センターの所専門員がこの昆虫についてご紹介いたします。どうぞお楽しみ下さい。

◆2. 現場レポート

 REDD研究開発センターでは、海外におけるワークショップ、シンポジウムや現地調査の様子をお伝えしています。ペルーにおける現地調査手法の指導やプロジェクト最終年度とりまとめに関する打ち合わせの報告等について追加しました。
http://redd.ffpri.affrc.go.jp/technical/report/2018_ja.html

◆3.その他(他所主催の関連イベント・ニュース情報)

3.1 モントリオール・プロセス国際シンポジウム「SDGs 達成に向けた森林の貢献:森林情報の活用と基準・指標」(林野庁)
 SDGs にも位置付けられた「持続可能な森林経営」を実現するためには、森林の状況を客観的、科学的に把握するための「ものさし」としての基準・指標の設定が求められます。本シンポジウムでは、環太平洋地域の12ヶ国の連携の下に構築してきた「モントリオール・プロセス(注)」の取り組みの一環として、国内外から専門家を招き、近年の森林分野に関連する国際的な動向や「基準・指標」を活用した森林情報の把握に関する各国の取組等について技術・政策面から紹介し、今後の展望について議論します。
 持続可能な森林経営の実現に向けて森林情報を政策の立案や評価にどのように活かしていくか、ということについてご関心をお持ちの方、是非ご参加下さい。
(注)モントリオール・プロセスとは
 森林の持続可能性を客観的・科学的に把握や分析するための「基準・指標」を議論する国際的な取組です。日本を含む環太平洋地域の温帯・亜寒帯林地域を対象とする12ヶ国が加盟しています。
加盟国:アメリカ、アルゼンチン、ウルグアイ、オーストラリア、カナダ、韓国、中国、チリ、日本、ニュージーランド、メキシコ、ロシア
日時:10月21日(月)13:30~17:30(13時受付開始)
場所:熊本市国際交流会館
主催:林野庁
言語:英語(日本語同時通訳付)
詳細・参加登録:
http://www.nittsu-ryoko.co.jp/event/fa2019/

3.2 国連大学国際シンポジウム「SDGs達成に向けた政策志向型研究の展望」
 本シンポジウムは、SDGs達成に向けた政策志向型研究の役割について多様な視点から議論を深めることを目的として開催されます。政策志向型研究の今後の課題・機会、また政策決定者とともに研究をデザインする方法等についてSDGsに関する世界的研究の最先端において活躍中のナキセノヴィッチ博士(TWI2050プロジェクト主査、IIASA前副所長)を含め国内外の有識者をお迎えし、議論を行う予定です。ぜひご参加下さい。
 森林総研からも森田香菜子主任研究員がディスカッサントとして登壇します。
日時:11月1日(金)14:30~17:30
場所:国際連合大学本部 レセプション・ホール(2階)
主催:国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)、東京大学、Future Earth日本委員会、国立環境研究所(NIES)
協力:(独)環境再生保全機構 環境研究総合推進費(1-1801及びS-16)、 持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN Japan)、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)
言語:英語(日本語同時通訳付)
詳細・参加登録:
https://ias.unu.edu/jp/events/upcoming/the-future-of-policy-oriented-research-for-achieving-the-sdgs.html#overview 

3.3 日独仏合同コンファレンス 「AI for SDGs - 環境問題の解決に向けた人工知能(AI)の活用とは?」
 国連デーに開催されるこのコンファレンスでは、ドイツ、日本、フランス三ヵ国からの専門家が東京に集い、環境問題に対してAIがもつ可能性についての講演及び意見交換が行われます。テーマは、持続可能な土地利用、スマート農業、スマートシティ、スマート交通システムなど様々な分野に及び、森林も「SDG(15)陸の豊かさを守ろう」に含まれています。産学官の専門家の方々から一般の方々まで、ぜひふるってご参加ください。
日時:10月24日(木)10:00~18:15
場所:ドイツ文化会館1階 東京都港区赤坂7-5-56
主催:ドイツ 科学・イノベーション フォーラム 東京(DWIH東京)
共催:在日フランス大使館、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)
賛助:ドイツ外務省、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
後援/協力:独立行政法人日本学術振興会(JSPS)、東京大学未来ビジョン研究センター
言語:英語(日本語同時通訳付)
ライブストリーミングを予定しています。
詳細・参加登録:
https://www.dwih-tokyo.org/ja/event/aiforsdgs/

3.4 当センターの元メンバーからの朗報:ホンジュラスのJICA生物回廊プロジェクトで、プーマが出現
 ホンジュラス共和国において実施されている JICAラ・ウニオン生物回廊プロジェクト では、生物回廊(複数の保護地域等及びそれらをつなぐ区域からなる森林生態系)における野生動物のモニタリングの一環として自動撮影カメラを設置しています。2019年3月、そのカメラにより、これまで住民の目撃情報にとどまっていたプーマの撮影に初めて成功し、当該地域でのプーマの生息が立証されました。
 これを受けて、同プロジェクトのチーフアドバイザーである徳川浩一JICA専門家(元・当センター事務局職員)がカウンターパートの環境大臣 他とテレビでインタビューを受けたテレビ番組が公開されています。貴重なプーマの映像も見られますので、ぜひご覧下さい。
http://redd.ffpri.affrc.go.jp/news_ichiran/20190909_tokugawa_honduras_ja.html
 
◆4.巻末リレーコラム 第五回 所 雅彦 “日本のお花見が危ない!?”
 
 日本の春のお楽しみ、お花見、その主役を演じるソメイヨシノがいま日本中で枯れて大変問題になっています。中でも花見の名所になっている様な太い並木があるところが軒並み枯れており、このままではお花見がピンチです。
 この枯損の原因を引き起こしているのは “クビアカツヤカミキリ”(以下クビアカ)と言うカミキリムシです。クビアカはテカテカした真黒な体色に真赤な首(実際は前胸)がとてもインパクトのある体長約3~5cmの比較的大きな虫で、この幼虫が桜をはじめバラ科の樹木の、モモやウメの幹にたくさん穿入し、大きな穴をいくつも開け、樹皮に開けた孔からは木屑と糞の混じった排せつ物(フラス)をミンチ状に多量に排出し、やがて木を弱らせ枯らしてしまいます。
 クビアカはアジア大陸原産と考えられており、日本では2011年頃に埼玉県で初めて採集が記録され、その後全国で局所的に被害が顕在化してきております。物資の輸送用の木製パレット等に付いて入ってきたとみられ、物資の物流拠点を中心に被害が広がっている様で、2018年1月には厳密に防除対策が必要な“特定外来生物”に認定されましたので、見つけ次第可哀そうですが殺さなければなりません。セアカゴケグモやツマアカスズメバチ、ヒアリ同様日本での拡散が危ぶまれておりますので、物資の輸送はくれぐれも注意しなければ大変なことになりますね。虫にとっても不用意に連れてこられて踏んだり蹴ったりです。

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