林野庁補助事業「REDD+推進民間活動支援に関する研究」におけるカウンターパート等との打合せ
江原 誠(国際連携・気候変動研究拠点気候変動研究室/主任研究員)
日程
2019年12月8日~12月14日(7日間)
出張先
カンボジア王国 プノンペン/環境省自然保全・保護局等
概要
国のREDDプラスの成果は、REDDプラスを実施しなかった場合の全国の森林減少・劣化の進行度合を予測し、これを「森林参照レベル」と呼ばれる温室効果ガス排出量(tCO2/年)に換算し、この森林参照レベルをREDDプラス実施後の排出量(tCO2/年)と比較することにより評価される。我が国が進める二国間クレジット制度(JCM)での民間のREDDプラスプロジェクトの成果も、この国レベルの評価枠組みの中で評価されることになる。
しかし、民間のプロジェクトが入るエリア周辺の森林減少・劣化の進行度合はその立地条件が全国平均と異なる場合があるため、全国の森林参照レベルの値をそのまま用いると民間の努力を過小または過大に評価する恐れがある。そこで、REDD研究開発センターでは、林野庁補助事業「REDD+推進民間活動支援事業」の下で、民間のプロジェクトの成果を国レベルの成果と整合性を保った上で適切に評価するために、JCMの下で民間のREDDプラスプロジェクトが開始されたカンボジアを対象にプロジェクトの成果を評価する手法を開発した。
今回は、プノンペン市においてカンボジア政府のカウンターパート等を訪問し、上述の評価手法を説明し、カンボジア政府への同研究成果の橋渡し方法を検討した。具体的には、国の森林参照レベルを、プロジェクト周辺地域の森林面積、森林タイプの構成比率(常緑樹林、常緑落葉混交林、落葉樹林)、過去(2006~2014年)の森林減少傾向、2008年の人口密度といった立地条件の違いを考慮して、プロジェクトに配分する手法をカンボジア政府、国連開発計画(UNDP)、国連食糧農業機関(FAO)等に紹介し、同政府が開発中であるREDD+プロジェクトによる排出削減努力を国レベルで評価する手法にどう活用するか等、意見交換した。また、現地政府・NGO関係者からREDD+に関連する情報収集を行った。