「森林技術国際展開支援事業」治山技術の現地適用へ向けたベトナム北部山地流域における山地災害調査、及びベトナム北部海岸におけるマングローブ防災林調査
【山地班】
村上亘(森林防災研究領域 チーム長:リスク評価担当)
古市剛久(森林防災研究領域 特別研究員)
經隆悠(森林防災研究領域 研究員)
エストケ・ロナルド・カネーロ(生物多様性・気候変動研究拠点 主任研究員)
道中哲也(生物多様性・気候変動研究拠点 チーム長:森林推移分析担当)
【海岸班】
小野賢二(立地環境研究領域 主任研究員)
野口宏典(森林防災研究領域 気象害・防災林研究室長)
平田泰雅(REDDプラス・海外森林防災研究開発センター長、研究ディレクター)
髙畑啓一(生物多様性・気候変動研究拠点 主任研究員)
日程
2023年02月12日~24日(13日間)
出張先
ベトナム社会主義共和国 ハノイ市ベトナム森林科学アカデミー、イェンバイ省ムーカンチャイ県、ソンラ省モンゾン県、ナムディン省スワントゥイ国立公園
概要
森林総合研究所では、森林の防災・減災機能を最大限に発揮させる日本の治山技術を発展途上国などの海外の現場に効果的に適用するために必要な手法を開発することを目的とした森林技術国際展開支援事業(林野庁補助事業)を2020年度(R2年度)から実施しています。ベトナム森林科学アカデミー(Vietnamese Academy of Forest Sciences: VAFS)を現地カウンターパートとして実施した今回の現地調査では、山地班と海岸班に分かれ、山地災害に関する調査及びマングローブ防災林に関する調査を行いました。
【山地班】
調査対象地の一つであるイェンバイ省ムーカンチャイ地区では、2017年に群発した表層崩壊(地表部1-2m程度の土層の崩れ)の特徴と2010年に発生しその後拡大を続けている地すべり(崩壊深度がより深く規模もより大きな崩れ)の特徴を、土層や植生などの面から調査しました。また、それぞれのサイトで空中写真を撮影して詳細な数値地形モデルを作成するとともに、棚田などの土地利用の状況や開発に伴う地形改変の状況を調べ、それらが地形プロセス(斜面崩壊、土砂流出)に与える影響について検討しました。もう一つの調査対象地であるソンラ省モンゾン県では、複数の村長宅を訪問して災害に対する意識や備えについて質問票に沿ったヒアリングを行い、また、過去に起こった災害地のマッピングを行い、地図上で特定された災害地の状況を現地で確認しました。
【海岸班】
調査対象地のナムディン省スワントゥイ国立公園において、この地の環境(泥を主体とする地盤)で生育するマングローブ(ベニマヤプシキ、ナンヨウマヤプシキ)が強風や高波に対してどの程度立木状態を維持できるか(倒伏耐性)を明らかにするために、立木の引き倒し試験を実施してそれらの樹種の根返りに対する限界値を把握しました。