国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
REDDプラス・海外森林防災研究開発センター

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No.1 (5/31) REDD研究開発センター新体制

REDD研究開発センター新体制 / REDD-plus COOKBOOK ANNEX 発行 / イベント案内&報告 / マラケシュ気候変動会合公式サイトオープン! / シリーズ ☆ 森林と国際関係 (5) / 文献等

=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+= ◇◇◇ 森林総研REDDセンターだより2016年度 No.1 ◇◇◇ 発行年月日: 5/31/2016 (研)森林総合研究所 REDD研究開発センター 事務局 ☆★☆★☆★☆★☆★☆☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆        ◇◇ トピックス ◇◇ ◆ 1. 巻頭言(REDD研究開発センターの新体制が発足しました。) ◆ 2. 現場調査マニュアル「REDD-plus COOKBOOK ANNEX」発行 ◆ 3. 第1回REDD+オフィシャル特派員急募   (REDD+プラットフォーム) ◆ 4. イベント案内 -4.1 CIFORイベント ① Global Landscapes Forum: The Investment Case 2016 (6/6 ロンドン) ② Asia-Pacific Rainforest Summit (8/3-5 ブルネイ・ダルサラーム国) -4.2 Oslo REDD Exchange (6/14-15 オスロ) -4.3 炭素市場プラットフォーム第1回戦略対話(非公開)(6/16-17)  -4.4 公開セミナー炭素市場(カーボンマーケット)に関するセミナー  ~パリ協定後の脱炭素社会に向けた世界の動向~(公開)(6/18) -4.5 ISAP2016(7/12-13)    持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム ◆ 5. イベント報告 -5.1 UNFCCCボン気候変動会合(SBSTA44, SBI44, APA1)(5/16-26) -5.2 第3回REDD+ FREL/FRL技術アセスメント集中セッション(3/14-19) -5.3 公開セミナー 国際森林デー シンポジウム (3/18) ◆ 6. 国内外インフォメーション   ① マラケシュ気候変動会合、公式サイトオープン (COP22, CMP12, SBSTA45, SBI45, APA1-2)(11/7-18) ② 生物多様性条約第13回締結国会議のためのSBSTTA20及びSBI1    (モントリオール、カナダ 4月、5月開催)   ③ パリ協定の署名式典(4/22 ニューヨーク、国連本部)   ④ 第2回国連環境総会(UNEA-2)    (5/23-27 ケニア、ナイロビ) ⑤ 第1回UN-REDDプログラム理事会 (6/28-29 ローマ) ◆ 7. シリーズ ☆ 森林と国際関係 (5) ◆ 8. 文献等紹介 ◆ 9. REDDセンターウェブサイト更新のお知らせ =+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+==+=+=+=+=+=+=+=+= ◆ 1. 巻頭言… REDD研究開発センターの新体制が発足しました。 平成28年度のREDD+推進民間活動支援事業がスタートし、REDD 研究開発センターも平成28年度新メンバーを迎え、新体制で研究 及び事業に取り組んでまいります。 ところで、昨年の気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21) でパリ協定(注)が採択され、REDDプラスも気候変動緩和策の一つ として重要であることが確認されました。問題提起から10年の交渉 を経てここに到達したことは大きな成果であり、これまで交渉に当 たられてきたすべての方々に敬意を表します。しかしながら、これ は森林減少、森林劣化を抑制する取り組みのスタートでしかありま せん。この後、REDDプラスをどのように実現していくかは、これか らの現場での取り組みにかかっています。 一月余り前、森林炭素蓄積マップを作成するため、カンボジアの モンドルキリ州、ラタナキリ州を訪ねてきました。今回の現地調査 は、予めカンボジア全土の3km格子点における土地被覆をGoogle Earthの高分解能衛星画像上で判読し、そのうちのいくつかの点に おいて土地被覆の判読結果の検証を行い、土地被覆が森林の場合、 森林炭素蓄積を算定するための調査を行うというものでした。現地 調査がアクセス可能な地点で行われたこともありますが、到達して みると、Google Earthで森林と判読された地点の多くが伐採され 火入れが行われて森林が失われており、中には調査の時にまだ煙が くすぶっていて、ごく最近火入れされたばかりのところもありまし た。長靴を通して、伐り倒されて焼かれた丸太からの余熱を足の裏 で感じながら、森林減少が今なお進行していることを改めて認識し てきました。 REDD研究開発センターは、これからもREDDプラスの実現に向けた 情報を発信してまいります。また、皆様からの情報も共有させてい ただき、REDDプラスに取り組む人たちの情報交換の場としての役割 も果たしていきたいと思います。 REDD研究開発センター センター長 平田泰雅 注:パリ協定(英文和文仮訳) =+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+==+=+=+=+=+=+=+=+= ◆ 2. 現場調査マニュアル「REDD-plus COOKBOOK ANNEX」発行 REDD研究開発センターは、REDD+活動に携わる現場技術者のために、 調査マニュアル「REDD-plus COOKBOOK ANNEX」を出版しました。 調査マニュアルANNEXは、実際に現場で活用するための知識と情報が 詰まったA5サイズの冊子体です。第一弾として、 2016年3月に「地上 インベントリ調査法」と「バイオマス測定のための破壊調査法」を 発行しました。引き続き「REDD-plus COOKBOOK ANNEX」の充実を図っ ていく予定です。 調査マニュアルANNEXは、基礎知識や技術について 要点を絞って解説した「REDD-plus COOKBOOK」(2012年に発行)と セットでお使いください。 「REDD-plus COOKBOOK ANNEX」ダウンロード =+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+==+=+=+=+=+=+=+=+= ◆3. 第1回REDD+オフィシャル特派員急募   (REDD+プラットフォーム)(注)  森から世界を変えるREDD+プラットフォームは、REDD+の活動を直 に見て取材するプロモーションプロジェクトを行います。多くの人 がREDD+に関心を持ち、それぞれのやり方で行動を起こせるよう、 友達や家族、同僚を通じて広くREDD+の可能性を伝える 「REDD+オフィシャル特派員」を募集しています。 締切:6月30日(木)24時 募集概要(REDD+プラットフォームへのサイトへ) 注:「森から世界を変えるREDD+プラットフォーム」では、官民が 協力して途上国の森林保全や気候変動対策、生物多様性保全、持続 的な開発(貧困削減)を展開します。加盟申請は随時受けつけてい ます。 REDD+プラットフォーム公式サイト(日本語 =+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+==+=+=+=+=+=+=+=+= ◆ 4. イベント案内 -4.1 CIFORイベント ① Global Landscapes Forum:The Investment Case 2016 (6/6 ロンドン)  土地利用分野への投資拡大を目的に開催される非公開イベントの 第2回です。主要な資金提供機関 の専門家、政府機関職員、プロ ジェクト開発者等が一同に会し、次のレベルの持続可能なランドス ケープ投資について議論します。今年は特に生計向上、環境・ 食糧 安全保障に関連した民間投資ポテンシャルについて検討します。 フォーラム詳細 (英文) ② Asia-Pacific Rainforest Summit  (8/3-5 ブルネイ・ダルサラーム国) ブルネイ・ダルサラーム国の国際会議場でAsia-Pacific Rainforest Summitが開催されます。パリ協定及び国連持続可能な開発目標(SDGs) の下でのグローバルコミットメントを踏まえ、REDDに関する実質的な アクションと地域の持続的発展を促進するために、政府、企業、市民 社会、研究コミュニティからの利害関係者が一同に会するサミット です。 サミット詳細(英文) 参考:SDGsの17個のゴール(1.貧困撲滅 2.飢餓撲滅 3.健康・福祉の 確保 4.教育 の確保 5.ジェンダー平等の達成 6.水と衛生の確保 7.持 続可能なエネルギー 8.経済成長 9.インフラ整備 10.国内と国家間不 平等の削減 11.持続的な都市・人間居住への転換 12.持続的な消費と 生産の確保 13.気候変動とその影響へ の緊急の対処 14.海洋保全 15.森林管理、砂漠化対処、土地劣化・生物多様 性損失防止 16.公正 な司法の促進 17.持続可能な開発のためのグローバルパートナーシップ の活性化) ------------------ -4.2 Oslo REDD+ Exchange(6/14-15)  ノルウェー政府主催によるREDD+に関する情報交換会。REDD+の効果的 な実施を目指し、500近くの政策決定者や実践者が参加し、情報交換や 将来展望に関する意見交換を行います。参加は招聘ベースですが、会合 結果は概要報告として公表されます。 プログラム詳細(英文) 前回開催時(Oslo REDD Exchange 2013)の概要報告(英文) ------------------ -4.3 炭素市場プラットフォーム第1回戦略対話(6/16-17)(非公開) 2015年6月に開催されたG7エルマウ・サミット首脳宣言において、G7 首脳は炭素市場に関する戦略的な対話の場を設立することにコミット しました。これを受けて、ドイツと2016年のG7議長国である日本が共 同議長となり、最初の戦略対話として、平成28年6月16日(木)- 17日 (金)に「炭素市場プラットフォーム第1回戦略対話」が東京で開催 されます。 【共 催】日本側:環境省、経済産業省、外務省      ドイツ側:環境・自然保護・建設・原子炉安全省 【備 考】会議は非公開です。 環境省報道発表資料(5/31) ------------------ -4.4 公開セミナー 炭素市場(カーボンマーケット)に関する公開セミナー  ~パリ協定後の脱炭素社会に向けた世界の動向~(6/18)  低炭素社会の実現に向けた温室効果ガスの排出削減対策の一つとし て、世界各国や国際機関では、炭素排出に価格を付けることでCO2排出 削減を促すカーボンマーケット(炭素市場)やカーボンプライシング (炭素価格付け)が注目されています。COP21におけるパリ協定に関す る決定や、G7伊勢志摩サミット・富山環境大臣会合においても、これ らの手法の重要性が明記されました。 こうしたことを受けて、炭素市場に関する世界の動向について情報発 信を行う「炭素市場(カーボン・マーケット)に関する公開セミナー  ~パリ協定後の脱炭素社会に向けた世界の動向~」が、環境省主催に より東京で開催されます。 【日 時】平成28年6月18日(土)9:00-12:30 【場 所】海運クラブ 東京都千代田区平河町2-6-4 海運ビル2階 TEL:03-3264-1825 【言 語】日英同時通訳 【参 加】参加費無料、定員は200名、先着順事前申込み プログラム等詳細  環境省報道発表資料(5/31) ------------------ -4.5 ISAP2016 (7/12-13) (持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム)  ISAPは、地球環境戦略研究機関(IGES)と国連大学サステイナビリ ティ高等研究所(UNU-IAS)との共同開催で毎年開催されています。 国際的に活躍する専門家や企業、政府、国際機関、NGO関係者が一堂 に会し、持続可能な開発についてアジア太平洋地域の視点から議論を 行う国際フォーラムです。ISAP2016では、「Translating Knowledge into Actions towards 2030 and beyond」(注)をメインテーマに、 これらの画期的な合意の成果を国際・国家・地方/地域レベルで効果 的に実施していくための方策について議論を行い、持続可能な社会に 向けたアクションを促していきます。 プログラム詳細 オンライン参加登録(6月末まで) 注):持続可能な開発のための2030アジェンダ - 英文日本語仮訳(外務省) =+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+==+=+=+=+=+=+=+=+= ◆ 5. イベント報告 -5.1 UNFCCCボン気候変動会合(SBSTA44, SBI44, APA1)(5/16-26)  5月16-26日、ドイツ・ボンにおいて、UNFCCCの下で、ボン気候 変動会合が開催され、第1回パリ協定締結国会合(CMA)に向けて、 パリ協定採択後のルール作りが始まりました。 同会合は、3つの補助機関(科学的、技術的助言に関する補助機関 (SBSTA)第44回会合、実施に関する補助機関(SBI)、第44回会合、 及びパリ協定に関する特別作業部会第1回会合(APA)(注)で構成 され、APA1では共同議長(サウジアラビア、NZ)が任命されたほか、 緩和関連のガイダンス、透明性のモダリティ、グローバルストック テイク等、COP21決定の作業計画に従ってパリ協定の詳細について 議論が行われ、年末のCOP22マラケシュ会合に向けた今後の作業計画 に合意しました。  REDD+については、COP19合意に基づき開始されたREDD+の支援の調 整に関する自主的会合の第3回が開催され、REDD+関連の様々な支援 について途上国が国内調整を行った経験や、英国・ノルウェー・ド イツの三カ国が自らドナー間の調整枠組みを発足させた事例等が報告 され、各国間の意見交換が行われました。議事次第とプレゼン資料は 下記のREDD+ウェブプラットフォームに公開されています。 次回APA会合は、第22回気候変動枠組条約締約国会議(COP22)の開催 と合わせて11月7日~18日にモロッコ・マラケシュにて開催される予定 です。 REDD+支援の調整に関する自主的会合UNFCCC(英文) 報道機関iisdによる「地球交渉速報」 (日本語の日報をダウンロードすることができます) 外務省「概要と評価」(5月30日) UNFCCCへのリンク(英文) 注)  APA(Adhoc Working Group on the Paris Agreement:パリ協定 特別作業部会):パリ協定の発効のための準備と、 パリ協定第1回締約国会議(CMA: The Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties to the Paris Agreement) の招集の準備を行う特別作業部会 ------------------ -5.2 第3回REDD+ 参照レベル(FREL/FRL)技術アセスメント    集中セッション(3/14-19)  REDD+に関わる重要決定文書4/CP.15(注1), 1/CP.16(注2), 12/CP.17(注3)に基づき、REDD+実施各国が提出する参照レベル について、13/CP.19(注4)の規定に基づき技術評価が行われまし た。今回は第3回の技術評価として、インドネシア、ベトナム、コ ンゴ民主共和国、ザンビア、エチオピア、チリ、コスタ・リカ、パ ラグアイ、ペルー、の9カ国が対象です。最終報告書は11月末に公 表予定です。これまでに行われた2回の技術評価の最終報告書が下 記のREDD+ウェブプラットフォームに公表されています。 REDD+ウェブプラットフォーム該当ページへのリンク(英文) (国名を選択すると各国情報が閲覧可能) 注1:発展途上国における森林減少及び森林劣化による排出の削減、 森林保全、持続可能な森林経営、さらに森林炭素蓄積の増進に関わ る活動の方法論的ガイダンス(4/CP.15) 注2:カンクン合意 : 気候変動枠組条約の下での長期的協力の行動 のための特別作業部会の作業結果(1/CP.16) 注3:決定書1/CP.16 に規定するセーフガードがどのように対処、 配慮されているかに関する情報提供システムに関するガイダンス及び 森林参照排出レベル及び森林参照レベルに関わるモダリティ(12/CP.17) 注4:森林参照排出レベルと森林参照レベルの両方、または、いずれ か一方の案、に関して締約国が提出した資料の技術評価に関するガイ ドラインと手続き(13/CP.19) (参考)重要決定サーチへのリンク(英文) ------------------ -5.3 公開セミナー 国際森林デー シンポジウム 「COP21 パリ協定が求める森林のすがた」(3/18) 2012年12月に開催された国連総会において、毎年3月21日を「国際 森林デー」とすることが決議され、森林総研ではこれにあわせて関連 する研究集会を開催してきました。今年度は、3月18日(金曜日)に 早稲田大学小野記念講堂において「COP21パリ協定が求める森林のす がた」と題して、パリで開催されたCOP21の論点を5名の論者に解説し ていただきました。151名の参加者があり、REDD+の推進とセーフガー ドにおける日本の立場等、熱心な討議が行われました。発表ファイル 等は下記サイトからダウンロードできます。 詳細報告 (森林総研ニュースへ) =+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+==+=+=+=+=+=+=+=+= ◆ 6. 国内外インフォメーション ① マラケシュ気候変動会合 公式サイトオープン  (COP22, CMP12, SBSTA45, SBI45, APA1-2)(11/7-18)  2016年11月7-18日にモロッコのマラケシュで、UNFCCC 第22回 締約国会議(COP22)が開催され、併せて、第1回パリ協定特別作業 部会第1回会合の再開会合(APA1-2)等が開催されます。ホテルの 予約や開催地マラケシュに関する情報等に関するモロッコ政府の 特設サイトが開設されましたので、参加を検討されている方はご 参照下さい。なお、REDD+に関連する議題やイベント等、追加情報 については追ってREDD研究開発センターホームページに掲載します。 UNFCCCへのリンク(英文) モロッコ政府によるCOP22公式ウェブサイトへのリンク(英語) REDD研究開発センターCOP22情報 ② 生物多様性条約第13回締結国会議のためのSBSTTA20及び SBI1 (モントリオール、カナダで4月、5月に開催)  生物多様性条約第13回締約国会議(COP13)の各議題について検討 を行う第20回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA20)及び第1回条約 実施補助機関会合(SBI1)がそれぞれ4/25-30及び5/2-6に、モントリオー ル(カナダ)で開催されました。森林との関係はREDDセンターの シリーズ ☆ 森林と国際関係 (5) をご覧ください。 REDDセンター「森林と国際関係」シリーズ 環境省報道発表資料(5/12) ③ 4月22日、パリ協定の署名式典(ニューヨーク国連本部)  潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、「本日、少なくとも171 の国家がパリ協定署名のために集った、これは、一つの国際条約に 対する一日の署名国としては、史上最大の国数である、また、特に、 署名と同時に15カ国が批准書を寄託したことを賞賛したい、この画期 的な協定は、持続可能な開発のための2030アジェンダと併せて、私た ちの世界を変革する力を有する」等と述べました。 外務省「日本政府パリ協定に署名」(パリ協定の仮和訳あり) 地球環境速報写真 UNFCCCによるパリ協定批准最新情報(英文) ④ 第2回国連環境総会(UNEA-2)がケニア、ナイロビで開催  5/23-27、去年9月に国連総会で採択された「持続可能開発に 関する2030年アジェンダ」、COP21「パリ協定」等を背景として、 今後のUNEPの果たすべき役割、事業、関係する国際的機関、団体等 との協力の進め方に関する広範な審議が行われ、パリ協定の効果的 実施促進、持続可能な消費と生産、海洋、野生動植物の違法取引等 に関する決議が採択されました。6月以降は、UNEP事務局長がノル ウェーの元環境大臣エリック・ソルハイム博士に交代します。 国連環境総会(UNEA-2) 環境省報道発表資料(5/3) ⑤ 第1回UN-REDDプログラム理事会 (6/28-29) (First Meeting of UN-REDD Programme Executive Board) 2016-2020の第2期戦略枠組を支援するため、イタリアFAO本部で第 1回REDDプログラム理事会が開催されます。 UN-REDDプログラム理事会(英文) (ソース:国際森林情報サービス) =+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+==+=+=+=+=+=+=+=+= ◆6. シリーズ 森林と国際関係 (5):生物多様性保全 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)では、2015年12月の第21回締約国 会議(COP21)で2020年以降の新しい気候変動対策に関する国際枠組 であるパリ協定が合意されました。パリ協定の中では、世界共通の長 期目標として、産業革命前と比べて平均気温上昇を2度未満に抑える こと、さらに1.5度未満に抑えられるよう努力することが示されまし た。また、今世紀後半までに人為的な温室効果ガスの排出と吸収源に よる除去の均衡を達成することが言及され、森林等の吸収源の保全・ 強化の重要性、REDD+についても明記されました。 UNFCCCと同様に1992年の地球サミットで署名が開始した、生物多様性 条約(CBD)においても、森林の生物多様性やREDD+の生物多様性への 配慮等が議論されており、森林保全・管理は重要な問題として扱われ ています。CBDでは、2010年に採択された、生物多様性保全のための 戦略計画2011-2020及び愛知生物多様性目標において、森林を含む生物 多様性保全損失を抑制する目標等が記されています。森林・林業に関 する目標としては、「森林を含む自然生息地の損失が少なくとも半減、 可能な場合にはゼロに近づき、劣化・分断が顕著に減少する(目標5) 」、「農業・養殖業・林業が持続可能に管理される(目標7)」等が あります。また、CBDの下では、森林保全・管理を通じた生物多様性 保全の促進だけでなく、気候変動による森林の生物多様性の悪影響の 軽減、REDD+の生物多様性への悪影響の軽減、さらにはシリーズの3回 目で紹介した、生態系の仕組みを基礎とした生態系ベース適応や生態 系ベース緩和(森林分野を含む)の可能性についても議論されてきま した。  CBDは毎年COPが開催されるUNFCCCと異なり、COPの開催は2年に1度で あり、今年の12月にCBD COP13が開かれます。CBD COP13に向けて先月 4月にはCBDの第20回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA20)が開かれ、 「生物多様性と気候変動」の議題の下で、生態系ベース適応や生態系 ベース緩和の促進について議論されました。次回はこの生態系ベース 適応や生態系ベース緩和に焦点を当て、森林分野の対策と生態系ベー ス適応や緩和との関係について記したいと思います。                          2016年5月11日 ((研)森林総合研究所 国際連携・気候変動研究拠点 森田香菜子) REDDセンター「森林と国際関係」シリーズ (合わせて本メルマガ 5.国内外インフォメーション①をご覧ください。) =+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+==+=+=+=+=+=+=+=+= ◆ 7. 文献等紹介 今回は平成28年度のREDD+推進民間活動支援事業委員の天野先生、 高村先生の記事を3件(日経エコロジー及び季刊 環境研究)、当センター 森田香菜子による「人と国土21」記事、Natureの記事1件、合わせて 4件を紹介します。 ① 天野正博:編集長インタビュー(REDD+は欠かせない、熱帯林で進む 陣取り合戦), 日経エコロジー,11, pp50-53, 2015 日経エコロジー編集長による天野先生へのインタビュー記事。途上国 の森林を保全するREDD+は、長期的に重要な地球温暖化対策であり、 2020年以降の枠組を決定したCOP21以前から先進国の熱帯林の陣取り 合戦が既に始まっていたことを解説。世界における日本の状況が、一般 の読者にもわかりやすく解説。 参考: 日経BP環境経営フォーラムに同様の記事が掲載 ② 天野正博:パリ協定におけるREDDプラスを中心とした森林の扱い, 環境研究No.181, pp50-56, 2016 環境問題の最新動向の記事を紹介してきた「季刊 環境研究」に、早稲田 大学天野先生がCOP21パリ協定での森林の扱いを詳細に解説。「1. はじ めに、2. 地球システムにおける温室効果ガスの動き、3. 排出源として の森林、4. 森林減少・森林劣化による温室効果ガス排出量の削減、5. パリ協定における森林の扱い、6. 京都議定書における植林CDMの問題点 とパリ協定のREDDプラス、7. まとめ」で構成され、日本の現状と解決す べき点を学ぶことができる。 ③ 高村ゆかり:気候変動対策の国際枠組み - パリ協定の合意とパリ後の 世界, 環境研究No.181, pp11-21.2016 同じく「季刊 環境研究」に、名古屋大学高村先生によるパリ協定を詳細 な解説記事が掲載。「1. はじめに?歴史的合意であるパリ協定、2. パリ 協定の主な合意事項、3. パリ協定の評価と課題、4. なぜパリ協定は合意 できたのか、5. エネルギー大転換に向かう世界、6. 結びにかえて - パリ 後の世界と日本」で構成され、世界の動向と日本が期待される役割等、 REDD+背景詳細情報を学ぶことができる。 ④ 森田香菜子:気候変動・生物多様性問題と森林保全, 人と国土21 (特集女性の視点からみた国土政策), 42(1), pp.48-49, 2016 概要:本メルマガに掲載してきたシリーズ森林と国際関係の著者、森田が、 森林分野の対策が、気候変動及び生物多様性に関する制度設計の議論の中 でどのように扱われているかを紹介。森林保全・管理を通じて、気候変動、 生物多様性問題の解決を実現するための制度的課題と学術分野の貢献を示す。 =+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+==+=+=+=+=+=+=+=+= ◆ 8. REDDセンターウェブサイト更新のお知らせ ☆ 新着情報、イベントを更新しました。 ☆☆ REDD文献検索システムをご活用ください。 =+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+==+=+=+=+=+=+=+=+= 編集後記♪ 平成28年度REDD研究開発センターの新体制が発足し、国際連携・ 気候変動研究拠点の江原誠がメルマガ担当に加わりました。 今後ともREDDプラスの実現に向けた国内外の情報をメルマガに より皆様と共有していきたいと思います。今回はメルマガが長く なり、読みにくくて申し訳ございません。  川元、江原 =+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+==+=+=+=+=+=+=+=+= ◆ 本メールマガジンは、送信を希望された方のほか、過去に名刺 交換をさせていただいた方にもお送りしています。連絡先の変更や 追加等のご連絡、情報提供、メルマガに関するご意見等は、下記 アドレスまでお寄せ下さい。また、メール配信を希望されない方は、 お手数ですが下記宛にご一報下さい。         redd-rd-center@ffpri.affrc.go.jp             ◇◇◇ 森林総合研究所 REDD研究開発センター ◇◇◇ URL: http://redd.ffpri.affrc.go.jp/index.html (担当: 国際連携・気候変動研究拠点 川元スミレ、江原誠) 〒 305-8687茨城県つくば市松の里1 国立研究開発法人 森林総合研究所内 Phone: 029-829-8365; FAX: 029-829-8366 ☆☆☆☆☆ REDD (Reducing Emissions from Deforestation and forest Degradation in developing countries) REDD+: 「開発途上国における森林減少・劣化に由来する排出の抑制、 並びに森林保全、持続可能な森林経営、森林炭素蓄積の増強」とされる 途上国での森林分野の温室効果ガス排出削減努力等を評価する仕組み